北朝鮮と米国の交渉は異常事態に陥っている

米国の2つのチームが北朝鮮と別々に交渉

また、金英哲副委員長はトランプ大統領に対し、これは米国が異なる関係を北朝鮮と作っていく気があるという決定的な意思の表れである、と述べた。これに対して、トランプ大統領は、それが北朝鮮にとって象徴的に重要なことなら自分はそれで構わない、と返答したという。こうした流れから、今後は北朝鮮と韓国の間のより公式な平和条約が、中国も加わって今後結ばれる可能性がある。

終戦宣言を発表する計画は、理由は完全にははっきりしていないが、シンガポールで思うようにいかなかったようだ。過去の米国政府は、休戦協定に代えて平和条約を締結することを含め、朝鮮半島の持続的な平和を作り出すという目標を支持してきた。

米朝首脳会談で筋書きが変わった

しかし、その前に、非核化が先だと米国政府は主張してきた。平和条約に着手することで、核保有国としての北朝鮮の地位が事実上固定され、韓国から米軍の早期撤退を求める北朝鮮やその他の圧力が増すことを懸念しているからだ。

しかし、シンガポール声明によって、両政府は「朝鮮半島における持続的で安定した平和体制の構築に向けた両者の取り組みに加わる」ことを約束し、北朝鮮と韓国の宣言を承認した。実際、トランプ大統領は会談後、米韓合同軍事演習の中止を発表。明らかに、終戦宣言へのお膳立てだ。この発表は、国防総省や韓国の米軍司令部を含め、国家安全保障の官僚たちにとって完全な不意打ちだった。

7月6〜7日の訪朝の際、ポンペオ国務長官らは、すぐに北朝鮮に具体的かつ新たな非核化のステップに合意させようとした。

声明によれば、北朝鮮はまったくそうではなかった。北朝鮮にとって実行すべき協議事項は「最初に戦争終結の宣言を公表すること」から始まっており、1953年に朝鮮戦争を終わらせた休戦協定締結の65周年となる今年7月27日に公表するものとしていた。

終戦宣言は、ほかの2つの措置と組み合わされる予定だった。ICBMエンジンの実験場の解体と、朝鮮戦争で行方不明となっていた米兵の遺骨の返還である。「緊張を和らげ戦争を防ぐために不可欠な朝鮮半島の平和体制確立の問題に、米国側は一度も言及しなかった」と、北朝鮮の外務省は不満を訴えた。

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