「シックスパッド」のMTGが描く1兆円企業構想 マザーズではメルカリに次ぐ時価総額に

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シックスパッドステーションで大胸筋、広背筋、腹直筋を鍛えるトレーニングの様子(写真:MTG)

そこで徹底したのがシリーズ化。ヘッド用やボディ用、さらにはローラーを使用する時につける化粧品など、リファという1ブランドのみでカテゴリーをどんどん増やしていった。

するとリファが出始めのころは50社近くもいた競合が、今では3社ほどに減少。次から次へとシリーズ化させることで、競合も簡単にまねできない仕組みをつくった。MTGの製品は「徹底したエビデンスがあることが強み」(松下社長)で、ブランドを保護するために知的財産戦略にも力を入れる。

社内には社長の分身が60人以上

MTGにとっては研究開発も重要だ。2015年7月の発売開始から2年で100万台を販売したシックスパッドは、長年EMS(電気筋肉刺激)を研究している森谷敏夫・京都大学名誉教授が開発に協力。それだけではなく、プロサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド選手も同製品の開発に携わっている。

ロナウド選手には当初広告会社経由で働きかけたところ、あえなく撃沈。そこで地道にコツコツと知り合いがいないか人づてに聞き回っていった。ようやく本人にまで行きついた時、松下社長はある製品をロナウド選手に差し出した。

「ロナウドに会う前に、勝手に彼をイメージして『ReFa ACTIVE(リファアクティブ)』という美容ローラーを作った。そうしたらすごく気に入ってくれた。デザイン性とか機能性にはうるさいと聞いていたから、逆にそこが彼に響いた」(松下剛社長)。そこから意気投合し、ロナウド選手とのシックスパッドの共同開発に至った。

ロナウド選手の他にも、歌手のマドンナともコスメ製品の共同開発をするなど、華々しいイメージがあるMTG。だが、会社の実態は華やかな外見とは異なり非常に堅実だ。

MTGを支えるのは「PC(プロフィットセンター)」と呼ばれる約60個の収益部門だ。たとえば物流部門が1つのPCになっていて、売り上げから利益まで一貫して見えるようにしている。松下社長は「PC責任者は1つの会社の責任者という位置づけで、いわば私の分身が60人いるイメージだ。急拡大を支えてきた経営システムで、これがなかったらさすがに今の売り上げはなかった」と語る。

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