素人投資家が選びがちな3つの「NG投資信託」 たくさん貯めるはずが逆に減っていませんか
2つめの罠は、前出のA子さんも買ってしまった商品の中に隠れていました。別の方の例をあげてみましょう。
32歳独身B男さん(IT会社勤務、年収450万円)のケースです。
数年前、B男さんはあるメーカーで営業職についていましたが、なかなか思うように給料が上がらず副業でもしようかと考えていたそうです。そんなとき、証券会社に勤めている友人から「良い投資商品があるから話を聞いてみないか」との連絡があり、早速聞いてみることに。友人はBRICSをテーマにした投資信託を勧めてきました。ブラジル、ロシア、インド、中国などの新興国へおカネを向ける投資信託は確かにはやっていました。
B男さんも、BRICSは今後成長が期待できると思い、当時の貯蓄額200万円のうち半分の100万円をこのテーマ型投資信託に投資。購入して1年くらいは利益が出ていたのですが、その後伸び悩み、数年経って「繰り上げ償還」(約款に従って期日を待たずに運用を終了、償還すること)になってしまったときには元本割れになっていたそうです。この手痛い経験から「今度はきちんとしたアドバイスを受けよう」と、相談にやってきたのです。
「テーマ型」投信は好成績が続きにくい
B男さんが購入した「テーマ型」とは、世の中で話題になっているテーマに関連する銘柄に的を絞って、投資する投資信託のことです。CSR(社会的責任)投資、バイオ、再生可能エネルギー、再生医療、ロボット、AI、ヘルスケア、FinTech(フィンテック)など、旬なテーマに関連している銘柄に絞ったテーマ型がたくさんあります。今後も新たなテーマが出てくれば増えていくことでしょう。
なお、テーマ型は、テーマに沿った銘柄を選別するアクティブファンドがほとんどなので、ファンドマネジャーの銘柄選定にかかる調査や分析などの負担により、手数料が高いものばかりです。手数料が高くても高いリターンが実現できるならば、良いのかもしれません。しかし、現状ではそうした高リターン商品は多いとは言えず、もしあったとしても、好成績が長く続きにくいのです。
なぜ好成績が長く続きにくいのかですが、世間で注目されるテーマは時間と共に変化し、あっという間に忘れられるから、というのが一番の要因でしょう。仮に注目度が低くなっても、投資している企業の業績がそのテーマに沿って長期的に伸びるのなら株価も上昇すると考えられるので問題はありません。しかし注目度が低くなるだけでなく、業績が伸びず株価も上昇しなければ、テーマ型の運用成績も悪化するという流れです。
また、B男さんのケースのように、テーマが忘れ去られると、ファンドへの資金流入が減るため純資産総額が小さくなり、その結果、運用継続が困難になって繰り上げ償還されることもあります。テーマ型はコストが高い上にリスクが大きく、とてもオススメできる投資信託ではありませんが、どうしても投資したいという方は、長期的にそのテーマが存続しうるのかを検討のうえで、「このタイプの投信は旬の時期が続かないので短期的に投資する」と割り切って行うのが良いでしょう。
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