スバルのさえない中期計画が映す不安な未来 米国戦略は強気、先進技術の本気度には疑問
次世代の自動車開発で欠かせないと言われるCASE(コネクティビティ・自動運転・シェアリング・電動化)の領域について、「スバルは意識が低いかもしれない」と漏らしていた吉永・前社長の頃から、大きな進展は見られない。
そんな中で目を引いたのが、「SUBARU-SBI Innovation Fund」というベンチャー投資ファンドの設立である。会見に先立つ7月9日に、金融大手SBIホールディングス傘下の投資会社・SBIインベストメントと共同で立ち上げた。先進技術やビジネスモデルのオープンイノベーションの推進を目指し、国内外のベンチャー企業に5年間で100億円投資するという。
経営企画担当の早田文昭常務執行役員は「”安心と愉しさ”をキーワードに、社内では思いつかないようなアイデアが見つけたい」と期待を込めたが、具体的な投資領域についてはまだ決まっていないとしている。
定まらない次世代の“スバルらしさ”
不正問題発覚からまもないということもあり、今回の中期計画は喫緊の課題である風土や品質に寄った内容で、新鮮さに欠けていたことは否めない。
2021年に発売されるという新たなEVについても、スバルらしさを追い求めれば「四輪駆動」「SUV」となってくるのは必然だが、ある開発者は「EVにおけるスバルらしさというものが、まだ定まっていない」と漏らす。新領域の明確な方向性が見えなければ、他社に引き離されるばかりだ。株価も反応し、中計発表からわずか10分で3.2%下落した。
ますます重要になるのが、開発リソースの豊富なトヨタ自動車との提携や、今般本腰を入れ始めたオープンイノベーションの進展だ。確かに米国でのSUVブームは今のスバルにとって心強い追い風だが、いつまでも続く保証はない。より遠くを見据えた舵取りが中村新体制には求められる。
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