スバルのさえない中期計画が映す不安な未来 米国戦略は強気、先進技術の本気度には疑問
SUBARUは7月10日、2025年度までの新たな中期経営計画を発表した。6月に就任したばかりの中村知美新社長は、緊張した面持ちで会見に登壇。「Change the Culture(文化を変える)。これは私の決意表明です」と言い切った。
スバルは昨年10月に完成検査不正問題が発覚して以降、社内のコンプライアンスや規律に対する意識の低さが問題視されてきた。吉永泰之前社長は一連の不正問題を受け、「近年の成長に対して、実力が伴っていなかった。“正しい会社”にしたい」と繰り返し述べていた。
「不正問題を受け、社長である私を含めて経営層が若返った。これほど風土を変えるのに適したチャンスはない」(中村氏)。新たな体制で策定されたのが、「STEP」と銘打たれた今回の中期計画。最重要課題は、風土・品質改革だ。
会社の風土は本当に変わるか
スバルのDNAを守りつつ、時代や世の中に柔軟に対応できる会社になる――。そんな決意の下、全業務と社内規定の点検・是正、コンプライアンス教育の強化などを進める。また近年増加するリコールなどを背景に、品質強化のために5年で1500億円を投じ、老朽化が進んだ群馬製作所の設備投資などに充てる計画を示した。
先進技術を迅速に製品化するための取り組みも進める。「新SUBARUづくり活動」と称し、今までバラバラに業務に従事していた開発や生産、営業など各部門の連携を強め、品質向上を第一に一貫した商品造りを進める。2018年度下期から始まる計画だ。
販売面では米国の重要性は不変。2025年度の世界販売計画130万台(2018年度比18%増)のうち、米国は85万台(同20%増)を見込む。
中村氏は自身が米国法人社長だった頃、「スバルはほかのメーカーと違っていていいね」と声をかけられたという。「ここ数年の課題だったディーラーの空白地帯であるサンベルト(南部の温暖地域)を中心に、販売店を20店舗ほど増やす。他社との”違い”が際立つようなブランドづくりを強化する」と意気込む。
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