メイ政権、ブレグジットで閣内合意すら難航

穏健派に妥協し、強硬派閣僚が相次いで辞任

ブレグジットを代表する顔役の1人だったボリス・ジョンソン外相も7月9日辞任(写真:REUTERS/TOBY MELVILLE)

ブレグジット(Brexit、英国のEU離脱)をめぐって同国の政治情勢が混沌としてきた。

7月6日、テリーザ・メイ英首相は閣議を開催し、離脱後のEU(欧州連合)との関係に関して基本方針を決定した。結論から言えば、ブレグジット強硬派、穏健派の双方から突き上げをくらいそうな内容であり、特に強硬派にとってはまったく腹に落ちない内容が示されている。そもそもメイ首相がハードブレグジット(強硬な離脱、EUの縛りを受けないために、単一市場へのアクセスを失うこともやむなしというもの)を標榜していた張本人であることを踏まえれば、強硬派が約束を反故にされたとの思いを抱いても不思議ではない。

6月下旬にかろうじて可決されたEU 離脱法案は強硬派と穏健派との間をうまくすり抜けることに成功したが、交渉内容の本丸にかかわる今回の発表では対立は覆いがたい。7月8日にはデイヴィド・デービスEU離脱担当相、9日にはボリス・ジョンソン外相が相次いで抗議の辞任をしている。共にメイ政権のハードブレグジット方針を支えてきた屋台骨であり、今後の離脱交渉への影響は必至である(そもそも過去数カ月、交渉はほとんど進んでいない)。

こうした動きを受けてポンド相場は当然軟化している。すぐに首相不信任案には至らないとの観測から下げは限定的だが、根本的な不安は当分残らざるをえない。

FTA締結を目指すと明記

たとえば財貿易に関してはどのような方針が示されたのか。文書によればFTA(自由貿易協定)を締結することを目指すと明記されている。その上で財貿易についてはEUと共通する規則(a common rule book)を維持するとあり、EU規則に従う旨が明記されている。サービス貿易こそ英国独自の規定を作り、現行水準とは異なる(今よりもオープンではない)両者の関係が明記されているが、財貿易はEUの規則に寄り添う意思が見え隠れする。

このほか環境や気候変動、社会保障、雇用、消費者保護などについてもEUと高度な基準で規制を敷くことを目指すとあり、ここでもEUの規則が残る。さらに、英国とEUの合意を適用・解釈するにあたっては欧州司法裁判所(Court of Justice of the European Union、CJEU)が解釈者(interpreter)として関与することも認める内容である。

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