世界が激怒!中国「犬肉祭り」の酷すぎる現実 その不衛生さと残酷さは目に余る

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毒殺された犬ばかりでなく、病死した犬の肉も食肉に回されている。犬肉食で狂犬病が広がることはないが、健康面に不安のある多数の犬を扱い、殺し、解体する過程で、作業員が犬にかまれるか、切り傷などから狂犬病に感染する可能性はある。中国政府は25年までに狂犬病を撲滅すると宣言しているが、犬肉祭りは目標達成を妨げそうだ。

玉林では犬は路上や学校の前などで殺され、子供がその様子を目にすることも多い。これについては国の未成年者保護法に違反する行為として、業者が有罪判決を受けた事例もある。

政府は「自然消滅」を待つ

世界中で高まる批判を受けて、玉林当局は14年に犬肉祭りは民間の行事であり、市は一切支援していないと釈明。市の職員に祭りの期間中は犬肉を扱う飲食店に行かないよう通達を出した。飲食店は「犬肉」の看板を出さないよう指導され、犬肉業者も取扱量を減らすよう命じられた。

結果、14年以降、業者は派手なお祭り騒ぎを自粛し、公共の場での犬殺しは禁止され、市内の犬肉処理場は郊外に移転した。

しかし市当局は祭りを禁止してはいないし、中国政府も犬肉取引を禁止していない。前述のように雇用面でも市場規模でも、中国の巨大な経済に占める犬肉産業のシェアは微々たるものなのに。

中国政府と地元の当局者は個人的には犬肉食には反対だと機会あるごとに強調している。そうは言っても犬肉産業の就労者は(数は少ないが)、貧しい農村出身者の中でも最も学歴が低く、技術を持たない最底辺の人々だと、当局者も知っている。

犬肉取引を禁止するなら、この人たちにそれに代わる生計手段を与えなければならない。政府としては犬肉産業をつぶすより、自然消滅を待つほうが政治的リスクは少ない。

それでも脱・犬肉食は時代の流れだ。玉林で会った犬肉業者の子供たちは親の職業を継ぎたくないと言っていた。既に香港と台湾では犬肉食は禁止されている。中国本土でも当局が本気になれば禁止できるはずだ。

文:ピーター・リー(ヒューストン大学ダウンタウン校准教授)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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