学校で広がる「起業家教育」、成功の2つの鍵 半径50センチ革命を起こす力を育てるには?

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この考え方からすれば、生徒が見つけてきたイノベーションや起業の種が成功から遠い、と考えること自体が不可能なはずなのだ。ただ、これまでの日本の学校教育は「先行きを予測して計画的に」行われてきた。教えるべき内容が決まっていて、その授業を行う目的、身につけさせるべき能力が定義されている中で、そこから逆算してカリキュラムや授業内容が組まれているのが普通の考え方だったからである。「見通し」があり、順を追って歩みを進め、そこに到達することが善しとされてきたのだ。

しかし、ここにきて政府が子どもたちに起業家精神やイノベーションマインドを持たせようとしているのは、新規事業開発の主流が「計画」や「緻密さ」から「まずやってみる」、「失敗から学ぶ」という方向に移ってきたことと同根である。つまり、この変化の激しい時代においては、どんなアイディアがどんなヒット商品になるかわからないのと同様、どんな生徒が社会でどのように活躍していくかはこれまで以上に誰にもわからなくなっていくのである。

変化の激しい時代の中で、従来型の頭でっかちな製品開発プロセスをやり続けていては大きな損失を被るということを、名だたるメーカーたちが身をもって明らかにしてきた。成功しそうだと思える企画ほど失敗し、箸にも棒にもかからなそうだと思う企画ほど大成功してきたのだ。

つまり、起業家精神を育んだり、イノベーションマインドを育む手段として「本物の体験」を生徒に届けたいなら、従来の前提や常識を手放さざるを得ないのだ。

未来については誰しも素人

どんな人材を育てるのかということ自体を考え直すタイミングが来ている今、育て方や教育観もともに考え直さなければ、多くの新規事業が失敗してきたのと同じ轍を踏む。教育を届ける大人たちが、生徒たちが生きていく未来に対しては誰しもが素人であることを受け入れ、「想定」や「当たり前」を手放し、「大人も気づかない輝かしい無限の可能性がすべての生徒に備わっている」と信じ、その可能性の伸ばし方をともに考え、悩む。失敗し、計画通りに進まないことを楽しむこと、そこにこそある学びを重視し、まさにError & Learnの考え方を教育のなかで促していくことが重要なのである。

生徒自らが、一番最初の種を自ら見つけること、そしてその種がどんなに実現化まで遠く見えたとしても、学びのプロセス設計を工夫することで、事業化の体験までを生徒に届けることが重要である。例えば起業やイノベーションのための理論や知見を生徒たちが取り組めるように設計しなおして、学校の授業で実施するような工夫は有効かもしれない。

そしてうまくいかなそうな生徒の取り組みをぐっと我慢して近くで支え続けた結果、大きな成果を生むかもしれない。そのことによる生徒の発達を目の当たりにした大人は、生徒の成長や可能性に対するそれまでの物差しをも手放すことができるのではないかと筆者は考えている。

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