シンガポールが富裕層を落とせる3つの理由

「おもてなし」をおカネに変える仕組みとは?

一方、日本のように無料だとそれはそれですばらしいのですが、顧客はたくさん使ってしまいがちで、店のコスト意識も低くなってしまうのではないでしょうか。

おしぼりに至っては顧客単価が2万円程度する「5.ファインダイニング」レベルの店なら香り付きで出ていたことが何度かありました。シンガポールのサービスチャージは10%なので、無料で提供しても元は十分に取れます。日本では中級店クラスでもしっかりしたおしぼりが出ますが、シンガポールではホテルなどの高級店でリクエストをしないかぎり、出てきた記憶がありません。

品質の高いサービスには対価を求めるシンガポール

逆に、「3.カジュアルレストラン」といわれるクラス以上からはテーブルごとに担当がつくのが一般的です。店員は客がオーダーしたものはしっかり覚え、違うテーブルでオーダーされた物が間違って運ばれてくるということはまずありません。「アレルギーや苦手な食材がないか」「ここまでのサービスに満足しているか」といった質問もこまめにしてくれます。プリフィックス(メニューから好きな料理を自由に組み合わせて選ぶ方式)の場合でもメインディッシュが苦手でどうしても食べられないときなどは頼めば変えてもらえる場合もあり、融通が効きます。シンガポールにはベジタリアン、ビーガン(酪農製品も食べない絶対菜食主義者)、ハラル対応ができるレストランも数多くあります。

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また値段設定は本当にしっかりなされています。特に評価されている店の単価は相応となるため、「予約が何カ月も取れないレストラン」などという店はあまりありません。「1.ファストフード」「2.ファストカジュアル」の人気店は当日並ぶスタイルの場合が多いですが、それ以上のクラスでは数日前に予約をすれば取れる場合が多いです。突然の訪問客に「連れて行く店がない!」ということも起こりにくいのです。

世界中から超富裕層や多種多様な人を受け入れているシンガポールは、個別対応が本当に上手です。特に超富裕層の扱いは上手。この層は細やかだといわれる日本人の眼からみても「神経質すぎる」と感じるような人も多々います。しかしこの「手間暇」を「稼ぐ力」に変えられるのがシンガポールのタフさだと感じます。日本もしっかりしたサービスをするなら、それに応じたおカネをどんどんとってもいいのです。2020年に開催される東京オリンピックやその後に向けて、日本もシンガポールから学べるところは多いのではないでしょうか。

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