北朝鮮の「非核化」費用、一体いくら必要か 基本を押さえておこう
さらに複雑なことに、北朝鮮の核活動や核兵器プログラム、弾道ミサイルの性能については、分かっていないことが依然として多い。これらは、世界有数の秘密主義国家で行われている、極秘中の極秘活動の1つであり、各国の諜報機関が侵入に苦戦している事項だ。
北朝鮮は2006年以降6度の核実験を実施しており、回数を重ねるごとに爆発の規模が大きくなった。また、ミサイル実験でも急速に技術を改良して射程を伸ばし、外国政府を驚かせている。
北朝鮮が昨年12月に実施した大陸間弾道ミサイル実験は、米国本土の大半を射程に収めているようだと各国政府や専門家は指摘している。ただ核弾頭が標的めがけて地球の大気圏に再突入するために必要な技術を、北朝鮮はまだ完成させていないと、多くがみている。
北朝鮮の核施設
平壌の北にある寧辺(ヨンビョン)の核施設は、歴史的に北朝鮮の核開発の中心的存在だ。そこには、プルトニウムを抽出できる使用済み核燃料を取り出す原子炉のほか、(建設中の)実験用原子炉があり、衛星写真を分析している専門家は、完成間近だとしている。
寧辺にはまた、ウラン濃縮施設があると考えられている。ただ、専門家の多くは、寧辺以外にも、より大規模な濃縮施設が1、2カ所ある可能性が高いとしている。
北朝鮮は核兵器に必要な核分裂物質を得るために、プルトニウム再処理とウラン濃縮という2つの手段を確立している。
寧辺の核施設は衛星によって厳しく監視されており、2009年に退去させられるまでは国際原子力機関(IAEA)の査察官も監視していたが、他の場所にある国内施設についてはほとんど知られていない。
米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト氏は以前、北朝鮮の核施設の半数程度は、寧辺や核実験が行われた実験場以外の場所にあるとする匿名の「当局筋」の発言を引用している。