「役立たずの受験英語」を劇的に改善する秘策 グローバル時代の英語教育は一つしかない

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それに対してはこう答えられる。

英語で何かを本気で学んだことがある人ならば、時間をかけて考えながら読んだり書いたりすることで、しっかりと知識が定着するという経験をしたことがあるだろう。

分野によっては、日本語よりも英語の方が用語や概念が理解しやすいということもある。それ以上に重要なのは、新しい知識を英語で仕入れ、それについて考え、話しあったり文章にまとめるという学習プロセスである。

なぜなら、それは、社会に出て英語で仕事をする際の認知プロセス――仕事上の最新情報を英語で入手し、それを基にさまざまな言語背景を持つ人々と英語で考えディスカッションをし、英語でのプレゼンやレポートにまとめる――と全く同じだからである。

受験英語が実際の場面で役に立たない理由

このような学習転移のプロセスは、「転移適切処理」という仮説によって説明される。

それによると、学習の成果が最も出やすいのは、学んでいる際の脳の処理プロセスと実際に使う際のそれが近い時であるとされる。これは受験英語がなぜコミュニケーションに役立たないかの説明でよく使われる。

すなわち、単語を覚え、文法を理解し、日本語を英語に訳すという学習は、和文英訳対策としては有効だろうが、英語で効果的なメールを書くことには直接は役立たない。

取り組む活動の違いもさることながら、学習時の思考と使用時の思考が異なるからである。

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