中国で大いに流行する「アニメ・漫画」の行方 待望される「国産ヒーロー」
「中国の市場を理解し、中国のマンガ読者が何を望んでいるのかを理解するのに時間がかかってしまった」
騰訊控股(テンセント)<0700.HK>や百度(バイドゥ)<BIDU.O>、ネットイーズなど国内の巨大テクノロジー企業も、チャン氏と同じことを理解しようと努力しているところだ。
成功の方程式の1つは、中国の伝統的な宗教・文化的なテーマとキャラクターを使うことだ。エントグループの試算によれば、こうした戦略と、作画・ストーリー面での品質改善が功を奏し、中国のマンガ・アニメ市場は昨年1500億元規模に達したという。
日米両国の市場には後れをとっているものの、追いつきつつある。リサーチ・アンド・マーケッツの報告によれば、アニメの制作本数では日本がトップだが、売上高では米国が優勢であり、2016年には世界全体で推定2200億ドル(約24兆円)とされる市場のうち、40%近くを占めている。この年、中国のシェアは約8%だった。
中国企業にとって、魅力的なシリーズやキャラクターを開発できれば、ディズニーが開拓してきたような新たなビジネスチャンスにつながる可能性がある。シリーズ名を冠したテーマパークやゲーム、映画、テレビ番組、弁当箱や衣料品などだ。
消費者の心に響くコンテンツ
テンセントの北京支社でアニメ・マンガ著作権担当のシニアマネジャーを務めるXu Zhiwei氏は、「このビジネスを成功させるためには、優れたストーリー、質の高い制作、消費者の心に響くコンテンツが必要だ」と語る。
テンセントはすでにアニメ・マンガ部門でいくつかの成功を重ねており、同社が急成長と高い株式時価総額を維持するうえでもプラスになる可能性がある。
ゲーム、ソーシャルメディアで成功を収めたテンセントは、小新と呼ばれる漫画家の作品、人間と妖怪のあいだの恋愛を描いた「縁結びの妖狐ちゃん」の権利を購入した。