ナシなのに「彼氏面する男」が跋扈する真因 役に立たない「クソバイス」にはうんざりだ
「彼氏面男子」と「クソバイス」の発見
宮崎 智之(以下、宮崎):現代は、常識や非常識の基準があいまいになり、ちょっとしたことでモヤモヤする人が増えている時代です。そんななかでも僕が気になっているのは、男女の問題。僕が広めた言葉「彼氏面男子」は、付き合ってもいないのに、あたかも彼氏のような言動をする男性のことですが、彼らは犬山さんが問題提起している「クソバイス」(求めていないのに繰り出される、クソみたいなアドバイス)をすることが特徴の1つです。
なぜ、そんな現象が増えているのか。それについて考えることで、今の社会が見えてくるような気がしています。
犬山 紙子(以下、犬山):宮崎さんの本に、私の「クソバイス」という言葉が引用されていて、うれしかったです。確かにクソバイスと彼氏面男子は、つながっている部分がある。私と宮崎さんは同世代ですよね。
宮崎:僕は1982年3月生まれですので、犬山さんとは同学年だと思います。
犬山:だから時代へのモヤりが似ているのかも。
宮崎:いいか悪いかは別として、上の世代には共通した“常識”があったと思うんです。「女性は仕事ばかりしていると婚期を逃す」とか、「男は結婚して一人前」とか。今の時代にそんなことを言うのは明らかに偏見ですが、問題なのはそういったクソバイスをする人は、よかれと思ってやっているということ。
犬山:まさに、そうなんですよね。過去はそのせいでもっとたくさんの人がつらい思いを抱えていたとも思います。私も今まで、そういうクソバイスをたくさん受けてきました。でも、その時はクソバイスだとは気づいていなくて、「自分が悪いのかな。間違ってるのかな」と思っていました。
明確な悪口なら反発できるんですけど、なにせ相手がよかれと思って言っていることだから反論できない。ところがある時、気づいたんですよね。これは、まともに聞く必要がないクソバイスだと(笑)。偏見の上に成り立った「よかれ」はただの迷惑。
自分が悪いんじゃなくて、上から目線の持論を押し付けられていただけだと思った瞬間、いろいろなことが腑に落ちたんですよ。楽にもなったし、怒りも湧いた。そうした思いをツイッターに投稿してみたら、たくさんの人が反響をくださって。モヤモヤしていたのは、私だけではないんだと安心しました。