ナシなのに「彼氏面する男」が跋扈する真因

役に立たない「クソバイス」にはうんざりだ

宮崎:僕たちの世代は、新しい価値観が頭にインストールされている世代ではあるけど、一方で古い価値観を完全に捨て去ることはできていないし、犬山さんの本にも書いてあったとおり、実家に帰ったりすると、古いジェンダー観を押し付けられることもある。その狭間で生きているから、さまざまな場面でモヤモヤすることが多いのだと思います。僕らの世代で、負の連鎖を断ち切っていきたいですね。

暴走する男性の「所有願望」

犬山:彼氏面男子の根底にあるのは、言葉がきつくなってしまうかもしれないけど、やっぱり男尊女卑なんだと思います。「女性は、かわいがってあげるべき存在」「女性は、自分の所有物だ」という思いがどこかにある。相手を「女」としてではなく、対等に「人間」だと思っていたら、彼氏面発言はしないはずです。

宮崎 智之(みやざき ともゆき)/1982年生まれ。東京都出身。地域記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャーや男女問題についてのコラムのほか、日常生活の違和感をつづったエッセイを、雑誌、Webメディアなどに寄稿している。ラジオなどのメディア、イベント出演も多数。著書に『モヤモヤするあの人~常識と非常識のあいだ~』(幻冬舎文庫)など(撮影:菊岡 俊子)

宮崎:一部の男性は、女性を所有物だとみなしたい“さもしさ”をどこかで持っていると思っています。でも、今は昔みたいに「主人」「家内」みたいな関係には、結婚してもならないことが多い。恋愛の作法も変わっていて、いわゆる「男性性」をフルパワーで発揮すればいいというものではありません。なのに所有願望を捨てきれず、また複雑化した恋愛作法の手順をきちんと踏む努力も放棄して、女性からしてみればまったくお呼びではないのに、あたかも自分が所有しているかのように振る舞うのが彼氏面男子です。

犬山:そこらへんのことは、宮崎さんが啓蒙してくれることを期待していますよ(笑)。

宮崎:頑張ります!(笑)

犬山:私は、「イケメンにならいい」とも思っていないんですよね。イケメンでもクソバイスや彼氏面はイラつく(笑)。あと、彼女面女子もいますよね。「○○君は、こういう服装のほうが似合うよ」とか。

宮崎:犬山さんの本にあった「おしゃハラ(おしゃれハラスメント)」は、本当にあると思う。僕は歳の割に文化系ぶった髪型や服装をすることも多いから、女性にとやかく言われたりします。

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犬山:そう、決して一方に限った話ではないんです。私の本でも、男性が受けたクソバイスを扱っています。今はまだまだ男性社会なので男性がやり玉に挙げられることが多いですが、力を持つと誰もがやってしまう可能性があるということを、自覚する必要があると思いますよ。

宮崎:僕が思うのは、やっぱり「言語化」は大切だということです。「ブラック企業」という言葉も、ヤバイ労働をさせる企業をそう言語化することによって、「あ、私が勤めているのはブラック企業なのかも」と自覚する人が増えた。クソバイスも、彼氏面男子も同じです。言葉を作ったことにより、「私がモヤモヤしていたのは、これだったんだ」と自覚する人がたくさん出てきました。言語化したおかげで、こうやって語ることもできるし、対策を考えることもできる。それだけでも大きな進歩だと思っています。

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