トランプの対中貿易戦争は利敵行為にもなる

米国への「返り血」を避ける工夫はあるが

また、周知のとおり、「made in China」は世界中にあふれている。米国とて例外ではない。中国製品に高関税をかけた場合、米国の消費者が被る悪影響について政権内でどの程度までシミュレーションされているのだろうか。たとえば2017年の米国の中国からの財輸入のうち、最も大きなシェアを占めたのが「携帯電話その他」で13.9%(703.6億ドル)、2番目がPCで9.0%(455.2億ドル)、3番目が通信機器の6.6%(334.9億ドル)と続き、このほか玩具、衣服、家具などが上位につけている。

要するに「生活に密着した財」がほとんどだ。しかも、こうした「各財の中国からの輸入額」は「各財の世界からの輸入額」の過半を占めており、たとえば米国の輸入する携帯電話やPCの70%弱は中国からである。ちなみに輸入額全体に占める割合こそ大きくはないが、家具や玩具などに至っては70~80%が中国からである。

トランプも「返り血」を避けたい様子

中国製品にかかる関税を引き上げることで米国の家計部門が被る「悪いインフレ圧力」は相応に大きなものになることが容易に推測される。これは今年11月の中間選挙や2020年の大統領選挙で勝利を目指すトランプ大統領にとっても望むところではないと思われる。

今年に入ってからの課税行動を見ても、トランプ政権の家計部門への気遣いは見受けられる。やはり表立っては攻勢を維持しながらも、やりすぎて「返り血」を浴びることは避けたいというのが本意なのだろう。ピーターソン国際経済研究所の分析によれば、今回の500億ドル関税について7月6日から課税される第1リスト(The first set)では資本財が43%、中間財が52%とほぼすべてを占めており、消費財はわずか1%にとどまっている。

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