中古地下鉄車が変身、英「新型気動車」の実力 「低コストで新車同様」、新興メーカーが開発
D78型車両は、1980年から1983年にかけてロンドン地下鉄へ導入された車両で、現役時代はロンドン市内を東西に横断するディストリクト線で使用された。旧式の制御装置を搭載し、内装も陳腐化していたため、現在は最新型車両への置き換えが進められ、ロンドン地下鉄での活躍は2018年限りとなっている。
本来であれば、営業から退いたあとはスクラップとなるところだが、ヴィヴァレイル社は耐久性があり、かつ軽量なアルミ製の車体に注目。これをこのまま活用することで、大幅なコスト削減を実現したのだ。
「元ネタ」豊富というメリットも
もともと地下鉄で使われていた電車を地上用のディーゼルカーへ転用する、という大胆な発想は、なかなか思いつかない。日本でも引退した地下鉄車両が地方の鉄道へ中古車として譲渡される例はあるが、それはあくまで車体や走行装置などをほぼそのまま活用して、他社へ移籍するというもので、この230系のように、車体のみを活用し、足回りから内装まで完全新設計の準新車へ生まれ変わるケースは聞いたことがない。
ロンドン地下鉄といえば、「チューブ」という愛称の元となった円形のトンネルやその断面に合わせた筒状の独特の車体形状でよく知られている。そのような地下鉄車両を地上用に転用するのは難しいのでは、と思うかもしれない。だが、ロンドン地下鉄にはディストリクト線をはじめ、車体断面が一般的な鉄道と同じ地上線用標準規格の路線もある。D78型はその標準サイズのボディを採用しているため、地上路線用に転用が可能だった。
また、このD78型は全部で6両編成75本、実に450両も製造された車両のため、新車への置き換えによって毎週のように余剰車両が解体場送りになっており、当面はベースとなる車体やパーツが不足することがないという大きな利点もあった。
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