片山晋呉の不祥事から読み解くゴルフの本質 なぜトッププロがやらかしてしまったのか

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その時代にプロゴルフ界に入ってきた片山が、自身の言葉通りだとすると、AONを見て真似をしたのかもしれない。

JGTO会長で今回の会見でも頭を下げた青木も、尾崎も、口や態度は確かに現在求められているホスピタリティの模範になるようなものとはいえなかったが、回っている間はしっかりとアドバイスしたり、レッスンしたり、冗談を飛ばしたり、アマが喜ぶことをやっていた。「俺の練習見とけよ。こうやって打つんだ」と練習をしていたりもした。

なにより一緒に回れるだけで招待客は満足し、十分「おもてなし」になっていた。片山がそんな表面だけみて「真似」したのなら大間違い。そんな選手ではないということだ。少なくとも今回の招待客からはそう思われている。

片山の処分は処分として、もっと気になるのは、今回の行動はゴルフの根本にかかわることだと思うからだ。ゴルフ規則の最初、第1章がエチケット、マナーについてというのはこれまでも紹介してきた。(ゴルフがどこか取っつきにくいと感じる理由〔2015年5月30日配信〕)

そこから抜粋すると「ゴルフのマナーについて、全体に通じる基本的な考えは、コース上にいる他の人に対しても常に心をくばるべきということである」「プレーヤーはみな、どのように競い合っているときでもそのようなことに関係なく、礼儀正しさとスポーツマンシップを常に示しながら洗練されたマナーで立ちふるまうべきである」。

今回の片山の行動がこれに当てはまっていただろうか。

フィル・ミケルソンが起こした前代未聞のプレー

もっと深刻な問題だと思ったのが、6月のメジャー、全米オープン3日目に13番でフィル・ミケルソンが何と、自分がパッティングして打ったボールがカップを過ぎてから転がっている最中に駆け寄ってカップの方向に打ち返してしまった。

ゴルフ規則14-5に「動いている球を打ってはならない」と定めており、やった場合は2打のペナルティー(2打罰)が科される。ミケルソンはそのまま転がったらグリーンの外に出てしまい、もっと打数がかかるとして「早く次のホールに行きたかった」「罰打になることは知っていた」「戦略的にルールを使った」「喜んで(罰打を)受け入れる」「ルールを自分に有利に利用するのは当然」などとするコメントをメディアが報じ、物議をかもした。

失格にするべきだという声があがったが、主催する米ゴルフ協会(USGA)は「ルールに従い、ペナルティーを科した」と、結果に対する罰打のみで収めてしまった。ちなみにこのホール(パー4)は2打罰を入れて10をたたいている。

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