30~40代が知らない定年後「年収激減」の恐怖 貯金3500万円あってもまるで安心できない

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通帳に貯まったおカネの額だけを見て安心してはいけない。多少面倒でも長期のキャッシュフロー表を作成して老後の収支を推計し、個々の家計に応じた貯蓄額を考える必要がある。

通帳の額だけ見て安心してはいけない(写真:Graphs / PIXTA)

もう一つ誤解の多いのは年金だ。最たる言説は「年金制度が将来廃止される」というものだが、久留米大学の塚崎公義教授はこう指摘する。「そんなことになったら、大量の高齢者が生きていけず日本社会が崩壊する。財政が窮しても橋や道路への支出が先に止まり、年金停止は後になると考えるのが普通だ」。

お得なもらい方だと評判の「年金繰り下げ受給」にも注意が必要だ。受給開始を65歳から遅らせることで年間受給額を割り増す手法だが、一方で差し引かれる税金も増えること、加給年金(厚生年金につく一種の扶養手当)の開始時期も後ろ倒しになるマイナス面はあまり伝えられていない。

「銀行のいいなり」運用がダメな理由

年金と並ぶ老後の収入の柱としては、投資信託や不動産投資などによる資産運用益があるだろう。だが、定年退職者がまず陥りがちな落とし穴が、退職金を銀行のいうままに預けてしまうことだという。

セゾン投信の中野晴啓社長は、「銀行は巧妙な営業マニュアルに基づいて退職金が振りこまれた人の下に出向き、高い手数料を稼げる外貨預金や投資信託を言葉巧みに売ってくる。こうした『退職金プラン』にハマってはダメ。銀行は”金利のつかない金庫”と割り切るぐらいでないと」と話す。

日本株に投資しすぎる人も、将来のリターンを取りこぼす可能性が高い。経営コンサルタントの岩崎日出俊氏は指摘する。「今後も成長を続ける世界経済に比べて、日本経済は厳しさが続くだろう。運用先としても日本には多くを預けず、国際分散投資を行ったほうがいい」。

おりしも、国は「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などの税制優遇措置を拡充している。これらの投資優遇制度も活用し、国際分散型のETFや投資信託を積み立て投資するのが、リスクを抑えてリターンを最大化する鉄則だ。

50歳代はもちろんのこと、40歳代のうちから始めてもいい。老後貧乏を回避するための第一歩は資産運用や公的保険制度に対する知識を持ち、早い段階から準備をしておくことである。

『週刊東洋経済』7月7日号(7月2日発売)の特集は、「40代から考える 定年後のお金大全」です。
西澤 佑介 東洋経済 記者

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にしざわ ゆうすけ / Yusuke Nishizawa

1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

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