派手なメッキグリルのクルマが流行する理由

ミニバンや軽自動車の売れ筋に感じる危うさ

しかし今はアルファードが上回る。アルファードのフロントマスクを騎士の仮面を思わせる迫力満点の形状に変更したからだ。つまりステップワゴンのような流行に逆らうことはせず、売れ筋路線を踏襲してフロントマスクを上手にデザインすれば、安泰な販売を維持できる。

しかもミニバンは全般的に価格が高く、エアロ仕様となれば、ヴォクシーが280万~330万円、ヴェルファイア&アルファードは370万~500万円だ。小さなクルマに代替えするユーザーが増えて、軽自動車の販売比率が40%近い昨今、ミニバンはとてもオイシイ商品だから開発と販売に力が入る。

ちなみにクラウンがフルモデルチェンジして走りのバランスを向上させたが、メルセデスベンツEクラスなどの欧州車に近づいた。良いクルマになったが「日本のクラウンらしさ」は薄れてしまった。

その点でヴェルファイア&アルファードは、まさに日本車そのものだ。「クラウンよりEクラス」と考えるユーザーは多くても、「アルファードではなくメルセデスベンツVクラス」という選び方は少ないだろう。日本車と輸入車(特にドイツ車)を比べて、日本車が圧勝できるのは、セダンやSUVではなくミニバンと軽自動車だ。

したがって消去法的にミニバンや軽自動車のエアロ仕様を選ぶユーザーも多い。セダンは欧州車に負けていて、上級車種をねらえば価格は1000万円を軽く超える。それがミニバンであれば、Eクラスの中級グレードと同等の約700万円で、ヴェルファイア&アルファードの最上級モデルを買える。外観から内装まで豪華絢爛で、どう見てもEクラスの中級より買い得だ。

軽自動車では?

軽自動車もエアロパーツやメッキグリルを備えたグレードは200万円近いが、同じ価格帯の小型車よりも車内は広く、内外装の質感も軽自動車が高い(今のダイハツは軽自動車を手本にコンパクトカーを開発する)。見栄えと実用性の両面で、ほかのカテゴリーの魅力が下がったから、ミニバンと軽自動車のエアロ仕様を選んでいる現実がある。

販売戦略の影響も大きい。最近は各社とも在庫車をあまり持たないが、大量に売る必要のある軽自動車やミニバンは、ある程度の在庫を用意する。この在庫車を見ると、エアロ仕様が圧倒的に多い。

販売会社は、在庫車を短期間で売却して新たな車両を仕入れたいから、新規でメーカーに注文する場合に比べて値引きなどの条件が良い。ディーラーオプションの無料装着などが、エアロ仕様の在庫車に限られる場合もある。

さらにセールスマンは、エアロ仕様であれば数年後に下取りさせるときの売却額が高まることもアピールするから、最初は顔立ちが穏やかな標準ボディに魅力を感じたユーザーも、最終的にはエアロ仕様を選んでしまう。このような経緯から、街中には派手なメッキグリルを装着したミニバンと軽自動車があふれている。

そしてクルマ好きの読者諸兄はミニバンや軽自動車のメッキグリルやエアロパーツに顔をしかめるかもしれないが、クルマに詳しくない人は「オシャレでカッコイイ」と受け取ることも多い。標準ボディでは、物足りない感じがするようだ。販売店の店内にミニバンのエアロ仕様を飾っておくと、売れ行きが伸びたりする。

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