派手なメッキグリルのクルマが流行する理由

ミニバンや軽自動車の売れ筋に感じる危うさ

一方、軽自動車では、1998年に初代スズキのワゴンRが、フルモデルチェンジ直前にエアロパーツを装着する特別仕様車の「RR」を発売した。ワゴンR自体が人気車だから、これも好調に売れた。

以上のような成功から「ミニバンや背の高い軽自動車は儲かる」という認識がメーカーに広がり、エアロ仕様が増えていった。

派手なメッキグリルが人気を高めた理由は、大きく分けて2つある。まずはミニバンや背の高い軽自動車のフロントマスクには、上下方向の厚みがあり、メッキグリルの装着で存在感が大幅に増幅されることだ。

2つ目の理由は、ボディ全体の造形バランスにある。エアロパーツを装着するとボディ全体の見栄えが繁雑になるから、グリルを目立たせないとフロントマスクが落ち込んで見えてしまう。そこで派手な化粧に合わせるべく、金歯をムキ出したようなグリルでバランスを取った。

こうなると標準ボディに比べて変化度が大きい。スポーツカーにエアロパーツを付けても外観の印象はあまり変わらないが、フロントマスクが大きく、ボディ側面の広いミニバンにメッキグリルとエアロパーツを装着すると、外観が豹変する。見栄えの違いも人気の要因となった。

ミニバンや軽自動車が売れ筋のカテゴリーだからこそ、際限のない競争に陥っている面もある。ライバル車に比べて目立ち度が劣ると、販売競争でも負けてしまう。各車種ともフルモデルチェンジの度に、派手さと目立ち度をエスカレートさせた。

例外はステップワゴンだろう。2005年に発売された3代目では、床を低く抑えて全高を1800mm以下に抑えた。それでも室内高は十分にあり、低重心になって走行安定性も大幅に向上したが、外観の存在感が乏しく売れ行きは低迷した。

この反省で4代目は背を高くしたが、フロントマスクがエアロ仕様のスパーダでも地味で売れず、マイナーチェンジで派手に改めた。5代目も前期型は大人しく、後期型で派手に改めている。地味と派手を繰り返す理由を開発者に尋ねると「最初はほかの車種とは違う個性を表現するが、売れ行きが低調で結局はメッキグリルに頼ってしまう」という。

ステップワゴンの開発者は悩んでいたが、見方を変えれば商品開発は簡単になる。「フロントマスクを派手にして、エアロパーツを付ける」という派手路線を突き進めれば良いからだ。

ミニバンはとてもオイシイ商品

たとえばヴェルファイア&アルファードは、現行型でプラットフォームを刷新した。ステップワゴンのように床を低く抑え、十分な室内高を確保しながら、天井の低い低重心ミニバンにすることも可能だった。それなのに旧態依然のボディスタイルを踏襲している。開発者は「お客様が背の高いボディと、周囲を見晴らせる運転感覚を好むから、(わざわざ)床と天井を高くした」という。

そしてこの姉妹車の売れ行きを比べると、以前はヴェルファイアが好調だった。ヴェルファイアを売るネッツトヨタ店は全国に1600店舗、アルファードを扱うトヨペット店は1000店舗で、販売規模にも差があるからだ。

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