中国食品大手、品質改良で「肉厚の鶏」に活路 遺伝子工学に高い関心

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昨年、中国鶏肉市場の約4割となる約470万トンを占めた在来種の「黄毛種」において、温氏食品は国内有数の生産者である。

黄毛種の鶏は成長が遅いが、グローバル企業が生産する白毛種のブロイラーよりも好まれている。味が濃いため鶏を煮込んだスープなどの人気料理に向いており、歯応えもあり、栄養価も優れているという、もっぱらの評判だからだ。

温氏食品が計画しているのは、味の良さと同時に肉量も多い在来種を開発することだ。

より小規模なHunan Xiangjia Animal Husbandryなどの在来種生産企業は、すでにスーパーマーケットやネット上の食品販売サイトでの売上げを伸ばしている。Hunan Xiangjiaによれば、2017年の売上高約6億4600万元のうち、半分以上が加工済み鶏肉だという。

温氏食品では現在、生産した鶏の約8割に相当する年間約6億羽を、生きたまま市場に販売している、と温氏は言う。

ラボバンクでシニアアナリストを務めるパン・チェンジュン氏は、世界第5位の規模の養鶏企業が小売にシフトすれば、市場に大きな影響を与える可能性があるという。白毛種の鶏肉に言及し、「消費者が高級品志向を強め、もっと味のよい商品を探すようになるにつれて、鶏肉市場には確実に影響が出るだろう」と語った。

冷蔵鶏肉

温氏食品は、新たな販路に注意を向けざるを得ない状況にある。新鮮さを確保するために鶏を生きたまま買うという慣習のせいで、同社は近年の鳥インフルエンザ流行の際、市場閉鎖に対する脆弱さを露呈してしまった。

昨年流行した中国史上最悪の鳥インフルエンザによって、約300人の犠牲者が出ており、その多くが生きた鶏の売買を扱う労働者だった。

市場閉鎖と鶏肉価格が30%下落したことで、温氏食品の2017年利益は46%低下した。

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