「内向的なSNS」が日本をリスペクトする理由 ピンタレストはそれでも日本にこだわる

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――たくさんあるSNSの中で、ピンタレストを使う理由とは?

多くのSNSが人とのコミュニケーションを目的としているのに対して、ピンタレストはほぼ唯一といっていい自分の興味とつながれるサービスだ。SNSは複数あるが、自分を深く知るためのSNSはほぼない。

とはいえ、ユーザーの関心は移ろいやすく、テレビやSNS、ゲーム、映画などライバルは幅広い。こうした中で、ピンタレストはユーザーにとって暇つぶしではなく、「利用価値のある」存在になりたい。「子どものランチを作るアイデアを探すのに使ったな」とか「自分の好きなモノを探すのに使ったな」と考えてもらえるような。

ピンタレストは日本の文化にマッチする

――2012年に楽天がピンタレストに出資していますが、その後何か共同でやったりすることは?

随所で小さな実験的なことはやっている。投資を受け入れた理由の1つは、三木谷(浩史)さんから学べることがあると考えたからだ。彼はとても興味深い起業家で、クリエイティブかつ多様性のある人だから。実は今回日本に来る前にも連絡を取ったところだった。

もう1つの理由は、直感的にピンタレストは日本の文化にマッチするし、利用者にウケると感じたから。ピンタレストの利用者は、日々の生活を独自のスタイルや流儀を持って、美しく過ごそうと考えている。これは日本の文化に通ずるところがある。

ベン・シルバーマンCEO(撮影:梅谷秀司)

日本はかなりのビジュアル重視文化でもある。5~6年前初めて日本を訪れたとき、たとえばレストランのメニューでさえビジュアル重視なのを見て本当に驚いた。だから、日本には長期的な視点を持って投資しようと思っている。日本におけるサービスも単なるオリジナルの翻訳版ではなく、長い時間をかけて、日本で受け入れてもらえる作りになるように力を入れてきた。

多くの企業がやってきて、撤退する中で、ピンタレストが日本に残っている理由は、日本の利用者がピンタレストをとても気に入ってくれていて、さらに多くのユーザーを獲得できるという確信があるからだ。僕はいまだに、日本でサービスを提供していることはエキサイティングだと感じている。

――ピンタレストはまだ日本で伸びる余地がある?

日本のピンタレストの利用者は、昨年だけでも前年の3倍に増えた。日本人向けのコンテンツや検索機能を充実させるなど、使い勝手の向上も図ってきた。

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