外環道「三郷南-高谷」開通に見える光とカゲ 名古屋の環状高速は首都圏の先を行っている

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もちろん、中央環状線や外環道の開通により首都高速の都心付近が以前よりは空いているので、開通の効果という意味では一定の役割を果たしているとは言えるが、当初の国や道路関係団体が盛んに宣伝したほどの劇的な効果には結びついていないように思う。合流点などがネックになって新規開通区間でも新たな渋滞が発生してしまうのは環状線に限ったことではないが、今回も便利であるがゆえに交通量が増大し、ジャンクション付近での渋滞が今後起きてこないとも限らない。

環状高速の東西事情

環状高速は、首都圏以外でも建設されている。名古屋市の外周を通る名古屋第二環状道(名二環)は、2020年度には未開通の名古屋西JCT~飛島JCTの完成が予定され、伊勢湾岸道を介して完全な環状高速道路となるし、さらにその周縁部の東海環状道も岐阜~三重県の未開通区間が今年度から数年かけて開通するため、二重の環状高速道が完成する。

(出所)中日本高速道路ホームページ

名古屋圏は環状高速道路の建設の着手は遅かったが、愛知万博という国際的なイベントを追い風に一気に計画が進み、今や都市周辺の高速道路の充実度は国内では最高クラスといえる。

渋滞も東名阪道の鈴鹿・亀山付近と名神の一宮IC・JCT付近が常連であるほかは、今はあまり目立たず、今年度中に新名神の四日市~亀山間が開通すれば、東名阪の渋滞もほぼ解消されよう。一宮JCTに建設中の西尾張IC(仮称)の完成も付近の渋滞の緩和に一定の貢献をしそうなので、名古屋圏の常時渋滞区間はほぼ解消するのではないかというくらい整備のペースが速い。50年かけても外環道完成のめどが立たない東京周辺とは大きな差となっている。

また、関西圏は大都市が京都から神戸へと帯状につながっていることや大阪市と神戸市の北側には産地が迫っていることから、効果的な環状高速道路が造りにくい。近畿道と中国道・名神高速でかろうじて大阪市の外縁を環状に結んでいるといえなくもないが、「環状」の名を冠した高速道路がないことからも、そうした機能が弱いことが見て取れる。

今後の推移に注目

先日、国土交通省などから発表された外環道新区間開通後1週間の利用状況によれば、首都高中央環状線の通行量は1~2割減り、都心から放射上に延びる首都高でも渋滞が減っているし、利用者からも総じて所要時間の短縮が実感できていたり、並行する道路の交通量が減少したりしたという報告が多く上がっており、予想どおりの効果が見られているようだ。

他の環状線でも起きた新規開通区間の混雑が今後起きてくるのかどうかも見ながら、環状高速の真価を確認したい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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