「独居認知症」あなたが知らない強烈な現実 本人や周囲が用意できることはあるのか

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そうした独居認知症者に対して、本人や周囲が用意できることはあるのか。東京都大田区で約400人の患者さんの在宅医療を支えている「たかせクリニック」の髙瀬義昌医師は、「アドバンス・ケア・プランニング」という方法を薦める。

「自分で自分のことを決められなくなったときに備え、前もって、家族やかかりつけ医などの周りの人たちとの話し合いの機会を持ち、医療やケアに対する自分の意思を伝えておくのです。エンディングノートのように、あらかじめ考えておくべきことがリスト化されているものを活用すると考えをまとめやすいでしょう」(髙瀬医師)

最期まで「らしく」あり続けたいと考えるなら

ノートには緊急で入院したり、介護施設の利用が必要になったりした際、スムーズに自分が理想とする支援を受けられるようにするため、次の4つの項目を忘れずに記載しておくといいのだという。

① 家族・親族などの緊急連絡先
② いざというときに医療や介護のサービスを受けたときの支払いのこと
③ これまでの病気の記録と治療を受けた医療機関
④ 現在飲んでいる薬の記録

特に、いざ入院になった際、必要なおカネが円滑に被介護者へと流れる準備が大切だ。入院費は施設によるが1日1万5000円ほどかかる。認知症の親の銀行口座から入院費を引き出すことができずに立て替えが長期間に及び、子ども世帯の生活が立ち行かなくなってしまったというケースもしばしばあるためだ。

これらをクリアファイルに挟んだら、家に助けに入った人がすぐにわかるように、壁などの目立つところに貼っておくといい。

「一人暮らしの場合は、支援の目が届くまでに時間がかかることがあります。医療・介護・おカネの備えにも増して大切なことは、万が一、一人で家の中で倒れて助けを呼べずにいたときに、いち早く適切な支援につながるよう、自分を見つけてくれるご近所とのつながりをつくっておくことです」

かかりつけ医を持つ、介護サービスを利用するなどして、定期的に顔を合わせる相手を持つ。また、地域にあるコミュニティカフェや、地域包括支援センターなどに顔を出しておくことも地域に顔見知りを作るのに役立つ。

それまで数十年間積み重ねてきた人生の終盤で、自分や家族に助けが必要なのに意思表示ができない状態になっても、最期まで「らしく」あり続けたいと考えるなら、本人も周囲も今からできることを準備しておきたい。

高垣 育 薬剤師ライター、国際中医専門員

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たかがき いく / Iku Takagaki

2001年薬剤師免許を取得。2017年国際中医専門員の認定を受ける。調剤薬局、医療専門広告代理店等の勤務を経て2012年にフリーランスライターとして独立。毎週100人ほどの患者さんと対話する薬剤師とライターのパラレルキャリアを続けている。愛犬のゴールデンレトリバーの介護体験をもとに書いた実用書「犬の介護に役立つ本」(山と渓谷社)の出版を契機に「人」だけではなく「動物」の医療、介護、健康に関わる取材・ライティングも行っている。

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