「もめる相続」は資産5千万円以下で起きる 調停に持ち込まれる件数は年々増加している
◆ケース2
母親が認知症となり成年後見人が必要になった
【相談内容】
父親が亡くなり、認知症の母親と兄妹で相続することになりました。認知症になる前の母親は「相続のことは好きにしなさい」と言っていたのですが、そういうわけにもいかず「成年後見人」を選んでいました。速やかに相続の手続きをしたいのですが、成年後見人がいると何か不都合がありますか。
財産は保全されるが、自由に動かせなくなる
【先生のアドバイス】
成年後見人は、家庭裁判所が選びます。親族以外に、法律・福祉の専門家などが対象です。通常、事務費用の目安は月2万円、財産が1000万円以上では月3~6万円です。子どもなどが成年後見人になった場合、遺産分割を行うためには、相続人以外の第三者を「特別代理人」として選任する必要があります。
認知症などの理由で判断能力の不十分な人は、預貯金などの財産管理や遺産分割協議をする必要があっても難しい場合があります。このような人たちを保護するために「成年後見制度」があります。成年後見人を利用すると財産は保全されますが、自由に動かせなくなるのでよく検討してみましょう。ただ、悪徳商法などに引っかかりやすい人、子どもとの関係が良好でない人などには効果があります。