シビックタイプRが街乗りからサーキットまで快適かつ安心して走らせることができる要因はこの技術のおかげといえる。
世界には数多くのサスペンションメーカーが存在する。ドイツのビルシュタイン、スウェーデンのオーリンズ、日本のKYB、ヨロズ、ショーワ、タナベなどの名前を知っている自動車好きは少なくないだろう。自動車メーカーの純正採用が多いブランド、アフターマーケットに強いブランド、モータースポーツに強いブランドなどさまざまだが、実はどのカテゴリでも成功を収めているブランドは数少ない。ZFはその1つといってもいい。
ZFのショックアブソーバー
筆者の経験上、世の中で「いいクルマ」と評価される市販モデルにはZFのショックアブソーバーが装着されていることが多い。
といっても、クルマに詳しい日本人でもZFのショックアブソーバーと聞いてピンとくる人は少ないかもしれない。正式社名はZFフリードリスハーフェン。ドイツに本拠を置く自動車部品メーカーである。
その起源は「ザックス」にあると説明すれば、自動車好きもピンとくると思う。実はザックスは2001年にZFの傘下となり今日に至る。現在では純正採用品がZF、アフター品がザックスとブランドを使い分けている。
ショックアブソーバーの役目は、どのメーカーの商品も同じ。ただ、筆者には、ZFのショックアブソーバー装着車に乗ると「足がよく動く」「スムーズ」「雑味がない」という印象がある。
ZFジャパンでショックアブソーバーのエンジニアリングを担当する山崎仁さんが解説する。
「基本的な構造や構成部品のバルブやオイルなどは、他社と変わらないと思います。もちろん、純正装着していただくために技術だけでなくコスト要件も非常に重要です。その一方で、『セットアップを行う人のスキル』と『ユーザーの要求に正確に答える』は他社よりも長けています。それは(ザックスとして)1895年に創業して1929年に自動車用ショックアブソーバーの開発製造を本格的に開始して以来の長い“歴史”と“研究開発に掛けるコスト”が大きいことも要因の1つだと考えています」。
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