シビックタイプRの「足」を支える技術の正体 ZFのショックアブソーバーを知っていますか

✎ 1〜 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「予測ダンピング」という技術も保有している。似たようなシステムが存在するが、ZFのそれは路面状況をセンシングして減衰力を調整するシステムを意味するが、そのセンシングに安全運転支援のカメラを用いていることが特長である。これはメガサプライヤーとしてクルマの機能部品にトータルで携わっていないとできない技術のひとつだろう。

ZFのショックアブソーバーは、「職人技」「最先端技術」「メガサプライヤーとしての応用力」などの強みがある。このほか、モータースポーツの世界では1937年に同社のダンパーとクラッチを搭載した「メルセデス・シルバーアロー」が連勝を重ねて以降、レースはF1からツーリングカー、ラリーではWRCからラリーレイドまで幅広く活動を行い、世界で数々の成功をおさめており、最近ではフォーミュラEへの供給も行う。

これらの活動で得た知見や技術は量産へのフィードバックのためだが、逆に量産からモータースポーツへのフィードバックもあるそうだ。つまり、「極限」と「多様化」のバランスもZFの強みなのである。

日本ではスポーツ系のモデルへの装着がメイン

ただ、残念なことに日本ではZFのブランドは消費者にしっかりと浸透していない。良いショックアブソーバーでいえば、ビルシュタインのほうが圧倒的なブランド力がある。

(筆者撮影)

理由の1つは欧州車には普通のクルマに当たり前に装着されているが、日本ではホンダ・シビックタイプRやトヨタ86/スバルBRZ、レクサスRC F/GS Fなどのスポーツ系のモデルへの装着がメインだということもあるかもしれない。最新のホンダ「オデッセイ」や「ヴェゼル」など普通のモデルにも展開され始めていることを、どうアピールしていくかは課題だろう。

ちなみにZFのショックアブソーバーの工場があるシュバインフルトを日本語に訳すと「豚の街」だそうだ。豚はドイツの味のひとつであるソーセージの材料だが、ショックアブソーバーはクルマの味を作る材料のひとつ……。これは偶然なのか必然なのか。

山本 シンヤ 自動車研究家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事