大学4年で起業を決意した男の予期せぬ末路 確実に稼ぐか、大当たりできなければ厳しい
「君のビジネスモデルは、当たるか当たらないか、つまりイチかバチかになってしまっている。そこが危ない」
そう言われた。
その後もすごく親身に話を聞いてもらえた。「ウチで修行してから起業しても遅くないんじゃない?」とさえ言ってもらえた。しかしその話は辞退した。自分だけでやっていける圧倒的な自信が彼にはあったからだ。
卒業する間際からフルタイムで仕事を始めた
大学を卒業する間際から彼は、本格的にフルタイムで仕事を始めた。プログラミングのできる友人たちと、小さなマンションの一室を借りて開発に励んだ。いままでつくっていたゲームとは違い、大きなコストを掛けている。たとえば、ゲーム中に流れる音楽やイラストはすべてプロに依頼し、クオリティの高いものを要求した。これまでは大学の友人たちにボランティアでつくってもらっていたのだが、こうしたほうがのちの人脈も築けると考えた。
最初のゲームが完成した。デジタルネイティブの彼らはSNSを駆使してゲームの宣伝をした。最初は自分の学生時代の友人たちにゲームをプレイしてもらっていた。それが徐々に広がっていった。だが、ゲームのダウンロードランキングの上位に入るまでには、遠かった。
スマホゲームの開発は、完成した時点で終わりではない。運用やメンテナンスのために人員が必要となる。そのため彼の会社はしばらく宣伝を続け、このゲームを長く売れるものにする戦略をとった。だがそれは簡単な道ではなかった。
会社は何をするにもおカネが必要になってくる。社員も昔なじみの友人とはいえ、給料を支払わなくてはならない。そのためには売り上げが立たなくては話にならないのだが、発表したばかりのゲームにすぐ収入がついてくるわけではない。そのため彼はまた別の事業を企画しなければならなかった。だが、1つゲームをつくったばかりのため、開発能力が不足していた。ありていにいえば人もおカネも足りなくなってきていた。
しばらくの間、彼の会社は収入のない状態で、最初に開発したゲームの運用を続けつつ、新たな事業の開発をしなければならなかった。しかしそれは無謀な計画だった。エンジニア、つまり彼の友人も寝る間を惜しんで仕事をする日々……。それも、収入が入ってくるまでの我慢だと言い聞かせていた。
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