メルセデスが新旧「Gクラス」を併売する理由 「発売39年で初」の全面刷新、何が変わったか

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今年4月に発売された旧型G550の特別仕様車。日本国内では55台限定で販売された(写真:メルセデス・ベンツ日本)

その一方で、現在も旧型が順調に売れているといい、日本国内では当面、新型と旧型を併売する。こうした対応は、メルセデスを販売する各国の中でも異例だ。「旧型にこだわり、新型が出たことで旧型を急いで買っている方もいる」(上野社長)とコアな顧客に強く支持されているためだ。新型発売を控えても、旧型の中古車価格はほとんど下落していなかったという。

旧型を愛好する都内の40代後半の男性は「四角い外観が好きでGクラスを選んだ。発売以来、何十年も形が変わらなかったことに引かれた。取り回しや乗り心地もいい」と話す。旧型を購入する際、Gクラス以外を検討したこともなかったという。

この男性に新型について聞くと、「旧型のテイストが想像以上に残っていたのはよかったが、車幅が広がってしまったのは残念。今のところ、新型への買い替えは考えていない」との答えが返ってきた。こういった旧型人気を踏まえると、メルセデスが日本では当面、旧型を併売するのも、理にかなっているといえそうだ。

将来的には電動化の可能性も

新型は、車体にハイテン(高張力鋼板)やアルミを一部活用することで、旧型に比べ約170キログラムの軽量化を実現したほか、エンジン負荷に応じて気筒を休止するシステムを採用して燃費効率を改善。それでも4.0リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載した新型の燃費はメルセデスのSUV「GLC 63」と比べると22%悪い。

新型Gクラスが搭載する4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン(撮影:尾形文繁)

欧州では二酸化炭素(CO2)の排出量基準が年々厳格化。環境規制対応を急ぐメルセデスの中でもGクラスは例外的な車種だ。とはいえ、ダイムラーは昨年、2022年までに全車種に電動化モデルを設定する計画を発表。今年の北米国際自動車ショーの場で同社のディーター・ツェッチェCEOはGクラスの電動化を否定しなかったといい、将来的なパワートレインの展開からも目が離せない。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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