中国EC「京東」が描く未来型スーパーの全貌

ここまでやる!中国最新流通事情<前編>

セブンフレッシュの外観(記者撮影)

商品の品ぞろえは、商圏特性や過去の売れ行きなどのビッグデータによって決める。たとえば同店はオフィスエリアにあるため、ビジネスパーソンのニーズに合わせた品ぞろえをする。店内には購入した食品を調理してもらえるレストランも併設されており、昼時はいつも利用客で満席だ。

輸入品の取り扱いも強化している。近年、中国では農薬の大量使用などが問題となり、食の安全に対する意識が高まっている。自国産品への不信感もあり、世界各国の食材に対するニーズが大きい。

商品は世界各国にあるジンドンの現地事務所の社員が仕入れており、輸入品の比率は全体の約2割に達する。「うちでは毎日できたてのパンを売っているが、小麦粉など材料もすべて輸入品」(セブンフレッシュの朱徳虎店長)。商品の鮮度にもこだわり、パンや葉物野菜は1日、果物は2日たったらすべて処分されるという。

強みの物流網を最大限活かす

同店の延べ床面積は約4000平方メートル。そのうちバックヤードは約1000平方メートルだが、食品の店内加工や包装などに使われており、在庫の保管スペースはほとんどない。

商品在庫は店舗の周辺にある複数の自社倉庫に保管されている。一部の商品を除き、発注には自動発注システムが導入されており、店側の在庫状況を瞬時に判断、在庫があれば同日中に届けられる仕組みだ。

実は、店舗はECにおける「中継地点」の役割も果たす。

天井に張り巡らされたレールに乗って、配達員まで届けられる(写真:ジンドン)

同店は、客が専用アプリを使って商品を注文すると、店舗から半径3キロメートル内であれば無料で30分以内に配達するサービスを提供する。注文を受けると、従業員が店頭にある商品をEC専用の袋に詰め込み、店内にある装置に投入する。すると袋がぐんぐん上昇し、天井に張り巡らされているレールにたどり着く。そしてそれを外で待機する配達員が受け取り、客の自宅まで届ける。つまり、店舗がECの物流網の一角を成しているのだ。

店先には配達員のバイクが停まっている(記者撮影)

生鮮食品を中心とした品ぞろえ、ECとの融合。そうした店の特徴から、中国の流通事情に詳しい読者は別の店との共通点に気がつくかもしれない。EC首位のアリババが2016年から展開する生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(フーマー)」だ。それもそのはず。フーマーを創業したのは、ジンドンの物流部門の元責任者である侯毅氏なのだ。EC2強のつばぜり合いは、リアル店舗でも始まっている。

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