中国EC「京東」が描く未来型スーパーの全貌 ここまでやる!中国最新流通事情<前編>

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ジンドン本社内にある無人スーパー(記者撮影)

現在セブンフレッシュは北京市内で2店舗のみを運営しているが、「年内には北京市内に2ケタの店舗を開きたい。5年以内には1000店舗を目指す」(朱店長)という。

ジンドンが展開するリアル店舗はこれだけではない。同社は無人スーパーも30店舗運営している。北京市内のジンドン本社内にある店舗に実際に足を運んでみた。

顔認証で無人スーパーを実現

入店するためにはジンドンのアプリを起動したスマホをかざし、ゲートをくぐり抜ける必要がある。店舗面積は約60平方メートルと日本の標準的なコンビニよりも小さい。生鮮食品の割合は低く、一般食品や飲料、日用品などが並ぶ。

スマホをかざしゲートを抜ける(記者撮影)

一見するとどこにでもありそうな店舗だが、ふと天井を見上げると多くのカメラが吊り下がっている。同店はすべて顔認証で支払いが済む仕組みになっているのだ。

客は入店前にアプリで顔を登録し、入店後は天井にある40近くのカメラが来店客の行動を逐一追う。棚から商品を取ると、棚にあるセンサーで何を手に取ったのかを認識。カメラのデータと組み合わせることで、誰が何を買ったのかを判断する。そのままゲートを出ると、アプリにひも付けされた銀行口座から自動的におカネが引き落とされ、支払い状況もアプリでわかる仕組みになっている。

天井にある40近くのカメラで客の動きを追う(記者撮影)

ただし無人スーパー20店舗のうち、顔認証が導入されているのはまだ一部。ほとんどの店舗ではRFID(電子タグ)が用いられているが、RFIDは退店時に回収されないこともあって、コストがかさむ。「今はほとんどの店舗でRFIDを用いているが、コスト面でいうとカメラのほうが安い。今後は顔認証で支払いが可能な店舗をどんどん増やしていきたい」(ジンドン国際幹部訓練生の唐思宇氏)。

北京で訪れたジンドンの店舗は、EC大手ならではのテクノロジーに満ちていた。

(後編は6月9日に配信予定)

若泉 もえな 東洋経済 記者

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わかいずみ もえな / Moena Wakaizumi

東京都出身。2017年に東洋経済新報社に入社。化粧品や日用品、小売り担当などを経て、現在は東洋経済オンライン編集部。大学在学中に台湾に留学、中華エンタメを見るのが趣味。kpopも好き。

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