安倍首相、総裁選を8月に前倒して逃げ切りか ライバルに準備期間与えず3選狙うシナリオ
[東京 4日 ロイター] - 学校法人・森友学園の土地取引をめぐる公文書改ざん問題で、財務省は4日に職員20人の処分を発表し、麻生太郎財務相は1年分の閣僚給与の自主返納を申し出た。政府・与党は今回の対応で「区切り」を付け、働き方改革法案などの重要法案の成立に全力を挙げる構えだ。
そのうえで安倍首相周辺では、今年9月の自民党総裁選を8月に前倒しし、ライバルに準備期間を与えず、「3選」のゴールになだれ込むシナリオも浮上している。
強気な政権運営で押し切るムード
野党は、麻生財務相の辞任を求めているが、今回の対応は、その要求を拒否し、安倍首相・麻生副総理兼財務金融担当相の「体制」を堅持し、自民党総裁選に臨む姿勢を明確にするものだ。
一時は、会期内成立が危ぶまれた働き方改革法案は、5月31日に衆院を通過。参議院でも4日午前の本会議で審議入りした。
また、与党はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案を衆院内閣委員会で6日に採決し、7日の本会議で採決させたい考え。
ただ、参院内閣委での審議入りはなお、見通しがたっておらず「1、2週間程度の小幅な会期延長は避けられそうにない」(自民党関係者)との声がくすぶる。
安倍首相周辺で、強気な政権運営で押し切るムードが強まっているのは、こうした重要法案が成立する可能性が高まっていることに加え、各種の世論調査で内閣支持率が30%台から40%台で踏みとどまり「一時のような20%台への低下という危機が後退した」(与党関係者)との判断がありそうだ。