発達障害の僕が「うつの底」で体験した地獄

自己肯定感に「根拠」がある人は危ない

僕のように、単なるうつ状態を超えてしまった段階の「重いうつ」に関しては、経験上ひとつ明確な答えがあります。うつのどん底でできることは、服薬して眠る以外に何もないということです。まさに「うつの底」です。

それは、雪山で吹雪に閉ざされたときに似ています。雪洞を掘って、身体を丸めて眠る。できることはそれだけなのです。そして、それは生き残るための「行動」なのです。吹雪は永遠にやまないかもしれない。二度とここから動けないかもしれない。それは十分ありうることです。

枕元に魔法瓶を置く

うつのどん底にいたときに僕が最も助けられたアイテムは、魔法瓶です。これに温かい紅茶を詰めて枕元に置くのです。希死念慮がやってきたときは「とにかく温かいお茶を飲もう、それだけでいい」で意識をそらし、次は「お茶を補給しよう、それができれば十分」で達成感を回復しました。

僕のどん底は冬でしたので、「寒い。しかしストーブの灯油を補給する気力もない」ということはよくありました。そんなときに温かな魔法瓶のお茶は本当に大きな救いでした。これで、玄関まで歩いて灯油を補給する気力を引っ張り出せました。

中身は、シンプルにひたすら甘いストレートの紅茶がおすすめです。ミルクは胃に重くて飲めなくなるので推奨しません。レモンは悪くないです。食べ物は、カロリーメイトなどを大量に買って枕元に置き、紅茶で湿らせて食べるのがおすすめです。まるで遭難者ですが、実際に遭難者なのです。

どん底中のどん底だった1週間ほどが過ぎて、お風呂に入れるようになったときに「底を抜けた」と感じました。

うつの経験がある方はわかると思いますが、うつがひどくなるとシャワーひとつ浴びることができなくなります。これは若い頃の話ですが、やはりうつのどん底にいたとき、僕はトイレまで歩くことができず失禁し、その処理すらできず、悪臭の中で1日横たわっていました。うつというのは悪化すると、そこまでに人間のすべてを奪う病気です。

「うつのどん底」を抜けて少し回復が始まったとき、次は何とか「自己肯定感」、少なくとも自分が生きていていいという感覚を取り戻すための戦いが始まりました。

僕の場合、まだ希死念慮が抜けていなかったこのタイミングで、人生に絶望した友人から電話がかかってきたのが大きな救いになりました。

「死にたい。自分には生きる価値がない」と言う友人に対して、僕は極めて自然に「価値がなくたって死ぬ必要はない」と主張しました。

自分でもなぜそんなことを言ったのかわかりません。もちろん、何の根拠もない話です。自分自身が生きる価値を見失って死にたいと思っていたところなのだから、欺瞞もいいところです。

僕自身の価値観に照らせば、「確かにおまえに生きる価値はない」と言うべきところです。この電話は「お互い何とか生きようよ」というところで終わったのですが、とても大きな示唆を僕に与えてくれました。

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