「食堂車」フランス料理も寿司もありの120年 ブルトレ・特急・新幹線…レア写真で見る歴史
国鉄末期の1985(昭和60)年10月には新形の100系が登場した。この電車は中央の2両が2階建ての食堂車とグリーン車になり、食堂車は階下に厨房を設け、2階が4人掛けのテーブル10席、2人掛け2席を設けた食堂となった。展望の良い2階席で富士山や浜名湖を眺めながら食事をする楽しみは、文字どおり珠玉のひとときだった。
この2階建て新幹線の食堂車は大好評で、1989(平成元)年には2階建て車両を4両にした「グランドひかり」が登場し、食堂車もさらにグレードアップした。しかし、新幹線の食堂車も高速化による乗車時間の短縮などでしだいに姿を消し、ついに2000(平成12)年にはすべての食堂車が休止となり、100系が2002(平成14)年に引退するとビュッフェやカフェテリアも姿を消してしまった。
まだ食堂車は走っていた!
日本の定期列車から食堂車は姿を消したと思っていたところ、なんと私鉄の定期列車に食堂車は現存していた。2013(平成25)年、伊勢神宮の第62回式年遷宮に合わせて登場した近鉄の伊勢志摩行き観光特急「しまかぜ」だ。
この電車は近鉄が1編成6両に18億5000万円もの巨費をかけて製造しただけあって豪華な設備を誇るが、中でも注目の車両はダブルデッカー構造の「カフェテリア」だ。この車両は往年の100系新幹線の食堂車を思わせる構造とインテリアで、調理が可能な供食設備を持っており「食堂車」といえる。
メニューは松阪牛カレー、松阪牛重、海の幸ピラフにお弁当各種、アルコール類にスイーツまで。ほとんどがご当地メニューであることが特徴で、ワインも河内ワインだ。
いま話題の超豪華クルーズ列車や第三セクターのグルメ列車、ビール列車など、食事のできる列車は現在も決して少なくないが、気軽に「乗ったとき食べられる」といった食堂車もあってほしい。
筆者の希望は東海道・山陽新幹線「のぞみ」にビュッフェスタイルのバー車ができることである。専用車両が必要となるものの、個人的にはもうそのような時代に来ていると思うのだが……。
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