「食堂車」フランス料理も寿司もありの120年 ブルトレ・特急・新幹線…レア写真で見る歴史

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「あさかぜ」デラックス食堂車での朝食(筆者撮影)

その後「あさかぜ」は4人用個室B寝台「カルテット」や、ミニロビーとシャワー室を設けた車両が連結されるなどグレードアップが進み、食堂車もデラックス食堂車に改造された。この食堂車はヨーロッパのオリエント急行を参考にしたもので、室内はそれまでの食堂車のイメージを払拭した豪華仕様だった。だが、筆者の印象では、料理の種類も多くはなったものの、味はなんとなくファミリーレストラン化しているようにも思えた。

やがて国鉄が分割民営化されてJRになると列車の合理化が進み、ついに1993(平成5)年には「あさかぜ」も食堂車の営業を休止。列車自体も2005(平成17)年3月をもって廃止されてしまった。ほかのブルートレインも「あさかぜ」の流れとほぼ同じ経過を経て次々と廃止されていった。

豪華寝台列車に「豪華食堂車」

一般的な食堂車が衰退する一方、代わって登場したのが豪華寝台列車とその食堂車だ。JR発足後の1988(昭和63)年には青函トンネルが開業し、同時に誕生した上野―札幌間を結ぶ寝台特急「北斗星」はその豪華な設備が話題を呼んだ。この年にはヨーロッパから「オリエント急行」も来日し、折からのバブル景気も相まって豪華列車のブームが到来した。

「北斗星」の食堂車「グランシャリオ」。JR北海道所有の食堂車は赤いテーブルランプが優雅さを演出した(筆者撮影)

「北斗星」はJR東日本とJR北海道がそれぞれ客車を保有しており、食堂車とロビーカーには両社でインテリアの違いがみられたが、JR北海道の食堂車はオリエント急行を思わせる真っ赤なテーブルスタンドが特徴で、車体にはオリエント急行のようなエンブレムも光っていた。食堂車は「グランシャリオ(Grand Chariot)」と命名され、メインメニューには完全予約制のフランス料理のフルコースが供された。

「トワイライトエクスプレス」の食堂車内(筆者撮影)

一方、JR西日本も1989(平成元)年に臨時列車として大阪―札幌間に「トワイライトエクスプレス」の運転を開始した。筆者は初期の頃に乗車したが、食堂車では大阪の一流ホテル監修のフランス料理が提供され、洗練された男性食堂車乗務員が実にスマートな接客をしてくれたことが印象に残る。

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