非正規・単身「40代女性」の言い表せない不安 必死に働いて、気がつけばアラフォーだった

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さて、これを書いている私も1975年生まれの単身アラフォー女性の一人である。2018年1月に43歳となった。

子どもの頃に思い描いていた43歳と言えば、結婚して子どもがいて子どもは中学生くらいというイメージ。自分の母親が43歳の頃を考えると、高校生の私を筆頭に、やはり高校生と小学生の弟という3人の子育ての真っ最中。

が、現在の私は単身でフリーの物書きとして子を持つこともなくこの歳となった。別に積極的に「一人で生きていく」「子どもはいらない」と決めていたわけでもなんでもない。ただ、気がつけばそうなっていた。25歳で脱フリーターして物書きとなって18年。出版不況と言われ続ける中、ただただ仕事を失わないように働き続けるだけで精一杯だった。

そんな私も含むアラフォー世代は、一言で言って「受難の世代」だ。

団塊ジュニアでもあるので、数が多いことから過酷な受験戦争を経験するも、自らが社会に出る頃にはあっさりとバブルが崩壊。そこから長い長い就職氷河期が始まり、多くの同世代が正社員になれず、「とりあえず景気回復まで」とフリーターや派遣という非正規人生を歩み始めたのが1990年代。私もその一人で、高卒後、大学浪人を経て進学を諦め、1994年、19歳でフリーターとなった。

が、すぐに回復すると思った景気は一向に回復の兆しを見せず、1997年には山一證券が廃業したり北海道拓殖銀行が破綻したりと本気で雲行きが怪しくなってくる。世にはリストラの嵐が吹き荒れ、翌1998年には年間自殺者が初めて3万人を突破。

不況の中、「雇用の調整弁」を求めた企業は正社員をとらずに非正規に頼るようになり、労働法制もどんどん規制緩和され、2000年代には非正規雇用率は3割を突破。そして現在、非正規雇用率は4割に迫っている。その煽(あお)りをモロに受けたのがアラフォー世代だ。

「失われた20年」ときっちり重なる

そして「受難」は、困ったことに現在進行形である。

この20年間の経済的停滞を指して「失われた20年」と言われるが、現在のアラフォーは、20歳から今までが「失われた20年」ときっちり重なっている世代だ。

20歳から40歳と言えば、就職したり仕事を覚えたり、果ては結婚したり出産したりローンを組んで家を買ったりというライフイベントが集中する時期である。が、現在のアラフォーに至っては、その貴重な20年が「失われた20年」と丸かぶりしたために、就職も結婚も出産も子育てもすべて経験していない、という層が少なくない。

男女問わず、新卒の時期が就職氷河期と重なったため、腰かけのつもりで始めた非正規の仕事が20年以上続き、ずーっと最低賃金ギリギリの生活をしている人も多くいる。時給は20歳の頃と変わらないどころか、体力の低下・加齢による条件の低下などで下がっているケースもある。そうなると、結婚や出産などはどうしても遠ざかってしまう。そうしてもちろん、非正規では家のローンなど組めるはずがない。親世代の多くがアラフォーまでに手に入れたすべてをあらかじめ「失われた」世代。

そしてつらいのは、そんな貧乏くじ世代であっても、正社員になるなどした安定層は結構な確率で親世代と同じものを手に入れているという事実だ。

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