「社会保障費が2040年に1.6倍」は本当なのか? 日本の医療・介護費はそんなに怖くならない

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こうした対GDP比での社会保障費の推移を見ると、2000~2015年度では、14.8%から21.6%と6.8%ポイントの上昇を示していた。これは倍率にして1.46倍だ。2018~2040年度の社会保障費の増加は、実は2000~2015年度よりもマイルドな見通しだということがわかる。

欧州主要国より実質の社会保障費は小さい

為替の違いなどを排除できるため、対GDP比で考えると、国際比較も楽になる。欧州主要国の社会保障費の対GDP比は、日本より高い。

高齢化率は日本が断トツで高いにもかかわらずだ。つまり、なるほど日本は世界が経験したことのない超高齢社会に世界に先駆けて突入しているが、高齢化に伴う社会保障費の負担増という意味では、すでに欧州が先を行っているということだ。日本は社会保障費の膨張で未踏の領域に達しているわけではない。

もちろん、日本は税や社会保険料の対GDP比が欧州より低く、そのため、財政赤字が山積している。社会保障の効率化だけでなく、税や社会保険料の負担増も検討していく必要がある。社会保障費の増加に対し、むやみに恐怖感を持てば、正しい判断ができなくなる。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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