住友重機、220億円M&Aで「脱・重厚長大」なるか 産業ロボットの本場・欧州で橋頭堡築く
住友重機械工業(以下、住重)が海外拡大をにらんで重い腰を上げた。5月25日、イタリアの産業用モーター・ラファート社を220億円で買収すると発表したのだ。
住重は造船を手がける重工大手の一角だが、近年伸びているのは産業ロボット用精密減速機器。今回の買収は、その成長分野であるロボット用機器の拡大を見込んだものだ。
3年間で事業売上高を2倍にする計画
同機器を手がけるパワートランスミッション・コントロール(PTC)事業部は2020年3月期までの中期計画で、2017年3月期に986億円にすぎなかった同事業の売上高を倍以上の2000億円にする目標を設定。市場成長率を上回るオーガニック(自律的な)成長に加えて、M&Aによる非オーガニック成長によって達成することを明言してきた。
M&A資金として中計期間中に設定していたのは300億円。この買収資金の大半が今回のラファート買収に充てられる。買収資金は銀行借り入れで前2018年3月期末までにすでに手当て済みだという。
造船事業の長期低迷や国内原子力発電所の操業停止、海外原発の新規案件見送りが続く中、重工各社は従来型の重厚長大事業以外に活路を求めつつある。三菱重工はターボチャージャーやフォークリフト、IHIもターボチャージャーで成長を模索する。そして住重は、川崎重工と同じく、油圧機器や産業用ロボットに焦点を当てた。
ラファート社の2017年12月期の売上高は196億円、営業利益は13億円。過去3期、13億~14億円の営業利益を計上している。ラファート社は大きめのモーターが得意で、「顧客ニーズに応じた製造や、欧州での顧客基盤が大きいことに特徴がある」(PTC事業部長の田中利治取締役専務執行役員)。客先は欧州が全体の4分の3にのぼる。
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