人の健康は「社会とのつながり」が決めていた

喫煙や飲酒、肥満よりも大きな影響がある

大切なことは、今の自分がどういったつながりを持って生活しているかを理解することです。私たちが持つつながりは、ライフステージや世帯の状況などによって刻々と変化していきます。今のつながりを理解して、「もっとこういうつながりを持ってみたい」と興味を持てるようになれば、そこからどんどん広がっていくことでしょう。

肥満が伝染する?!

つながりが健康にもたらす影響力を示した別の研究を紹介します。ハーバード大学の元教授であるニコラス・クリスタキスは、アメリカのフレミングハム心臓研究という世界的に有名な調査のデータを用い、5000人以上の人が持つつながりを分析しました(2)。その結果、驚くべき「肥満の秘密」が明らかになったのです。

・ある人Aが肥満だった場合、約50%の確率でその友達Bは肥満になる。
・Bの友達であるCは、Aと直接関係がなくても20%の確率で肥満になる。
・さらに、Cの友達であるDは、AとBと直接関係がなくても10%の確率で肥満になる。

つまりAと直接知り合いでなくても、A→B→Cは20%、A→B→C→Dは10%の確率で肥満になるということです。この確率は統計学的に検討しても、ただの偶然に起こっただけとは考えにくいものでした。この結果をどう解釈すればよいでしょうか。

そうです。肥満はつながりを介してどんどんと「伝染」していくのです。「肥満が伝染するなんて聞いたことがない」と言いたい気持ちもわかります。もちろん、肥満はインフルエンザのようにウイルスや病原菌によってかかるわけではありません。しかし、フレミングハム心臓研究では、実際に人から人へと伝染していました。どうやって肥満は伝染していったのでしょうか。

理由の1つに、肥満の人が近い関係にいると、その人の考えや行動様式に影響されやすいことが挙げられます。これをクリスタキスは「行動の模倣」と呼びました。

みなさんは、誰かと食事に行った時、その人がモリモリとおいしそうにご飯を食べている姿を見て、ついつい一緒になって食べ過ぎたという経験はありませんか?

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