eスポーツは「五輪競技」として相応しいのか 「スポーツ扱い」されていない現実がある

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それらの障害をすべてクリアし、eスポーツがオリンピック種目に認められたところでeスポーツに対する印象が変わるかというと、そこまでの影響力も期待できないと考えます。それはオリンピック種目になったとしても、簡単に知名度が上がったり、好感度が上がったりするものではないからです。

オリンピックの放送やニュースをそれなりに視聴するような層だとしても、オリンピック競技のすべての種目が周知されているかというと、実際にはそうでもなかったりします。

たとえば、2020年に開催される東京オリンピックでは、33競技が行われますが、そのすべての競技を挙げられる人は少ないはずです。その競技の中にも細かい種目が用意されています。オリンピックの注目される競技は、陸上競技、水泳、体操を筆頭に、次いで野球、サッカー、バレーボール、柔道などが挙げられます。あまりスポーツに興味のない人も、このあたりの競技がオリンピック種目であることは理解しているのではないでしょうか。

そのほかの競技は、もともとのファンであれば知っていたとしても、一般的にはなかなか競技として認知されにくいものもあります。たとえば、射撃という競技自体もなかなか知られていませんが、射撃のカテゴリーにあるエアピストルやトラップ、スキートがどういう競技であるか説明できる人は少ないのではないでしょうか。

それらの知名度が低い競技はいかにオリンピック競技とはいえ、観客や視聴者の数を集めるのは難しいと言わざるをえません。

eスポーツがオリンピック競技になったとしたら…

eスポーツがオリンピック競技になったとしたら、それら知名度の低いスポーツよりもさらに注目度は低くなると考えるほうが無難でしょう。eスポーツは、さらに細部化されたタイトル分けがされるので、そのゲームに興味がない人は、ゲームやeスポーツ自体に興味がある人でも視聴しないからです。以前、日本eスポーツ選手権大会を取材したことがありましたが、メインステージで本戦が行われていても、サブステージで行われている予選と観客が分断され、メインステージの客席はガラガラといった状況を目撃しています。

テレビ局が高い放映権を入手して放送するかどうかも心配になってきます。

オリンピックやアジア競技大会で選出されるeスポーツタイトルに関しても、それらの国際大会としての理念や考え方により、人気があっても採用されないゲームタイトルが存在します。

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