インド自動車市場、急成長の小型車で激突するホンダとスズキ


迎え撃つ王者スズキ 3本の矢で防戦

1970年代に低価格小型車で北米を猛攻したスモールカーの雄が、ようやく市場のど真ん中に躍り出ようとしている。タプカラは当初年産6万台だが、その広さ、サプライヤーパーク分を除いても、グレーターノイダ第1工場(年産10万台)の3倍。あの鈴鹿より広く、能力は十分だ。

一方、ホンダを迎え撃つマルチスズキ。「乗用車市場は10年に200万台になると思う。A2市場はその半分としても100万台。魚のたくさんいるところに釣り糸を垂れるのは当然」。中西眞三社長は穏やかだ。「ただ、ヨソさんは1本かもしれないけど、うちは3本垂らせる」。

1本目はホンダも気になるスイフト。「先進的、欧州的すぎてどうかなと思っていたが、何のことはない、いちばん気に入られちゃった。ムンバイなどでは若い人がたくさん乗ってくれている」。2本目はすでに欧州で販売しているスプラッシュで「ファミリー層やもう少し落ち着いた人」がターゲット。3本目が来月発売のAスター。本来は欧州への輸出向けに開発した車種だが、「(現代自動車の)『i10』が出て、それにぶつけるという意味で、Aスターは必要なモデルになってきた」。

ナノが現れたとき、現最安車の「マルチ800」を持つスズキの出方に注目が集まった。発売が延期された今もそれは同じ。だが中西社長は悠然と構える。

「インドの所得や生活習慣が変わってきている。(23万~28万ルピーとA2最安値の)アルトにはスタンダード、エアコン付きデラックス、さらにその上のスーパーデラックスがあるが、スタンダードは全体の10%。エアコン付きが30%で、残り60%がスーパーデラックス。お客はもうエアコンなしじゃいられない」と分析する。マルチ800でも同じで、「4~5年前は7割がエアコンなしのいちばん安いやつだったが、今では逆転。結局、上へ上へ来ている。だからちょっと待つか、と」

中西社長が視線を据えているのは2年先の10年。「この年は大変ですよ。忙しくなりますよ」。厚いベールに包まれたトヨタ自動車の新興国向け小型車「EFC」の発売が10年。日産の2500ドルカーの内容も明らかになっているはずだ。

旧東京銀行時代から17年間インドを見てきた島田卓・インド・ビジネス・センター社長は言う。「91年に経済開国し、核実験で98年に各国から経済制裁を食らい、解除されたのが00年。それから10年しか経っていない中での今のインフレであり消費減退。嵐が収まった後の反発力はすごい」。プレーヤーの誰もが、今出遅れれば2年後には負けている、という確信を共有している。

(週刊東洋経済)

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