「結婚を考えるなら、相談所で出会った男性のほうが確実。頭ではわかっていたんですよ。でも、気持ちがついていかなかった」
だんだんと相談所のサイトを開くこともなくなり、これでは月会費がもったいないと、いったん休会。その2カ月後には退会してしまった。
退会を決めたのは、勉の「どんどん好きになっていく」という言葉があったからだった。
「お酒を飲んだときの言葉だったので、どこまで本心なのかなというのはあったんですよ。でも、すごくうれしかった。付き合っていく中で、年上の私から“結婚”という言葉を出すのは重たいだろうと思って言えませんでしたが、折をみてその意思確認はするつもりでいました」
しかし、確認できないまま10カ月が経ってしまった。ただ付き合いは順調で、実家暮らしの勉は、三恵の家に遊びに来たり、時には泊まっていったりするようにもなった。勉が家に来るときの夕食は、腕を振るった。泊まった翌朝の遅いブランチも、カフェスタイルのおしゃれなワンプレート料理を作った。
「古典的なやり方かもしれないけれど、まずは男性の胃袋を押さえる。私と過ごす時間が彼の生活にうまく組み込まれていって、それが結婚を考えるきっかけになってくれたらいいなって思ったんです」
親の言葉に急に焦りを覚えた
勉といる時間は楽しかったのだが、その先に結婚があるのかは、つねに不安だった。その不安が大きく膨れ上がったのは、ゴールデンウイークに実家に帰省したときのことだ。
「私は3人きょうだいの真ん中なんです。2つ上の姉は、25歳のときに地元の男性と結婚して、中学生になる男の子がいる。3つ下の弟も20代後半で結婚したので、幼稚園と小学生の娘が2人いる。こどもの日に、姉と弟がそれぞれの家族を連れて、実家にご飯を食べにきた。“私には、こうした家族がいつ築けるのかな”“好きなだけで恋愛を続けていていいのかな”と思ってしまった」
また、姉や弟の家族が帰った後で、父も母も、「誰かいい人はいないのか」と心配して聞いてきた。そこで、「ここ1年くらい付き合っている人がいる」と言った。本当は10カ月だったが、2カ月サバを読んだ。
すると、母が言った。
「その方、29歳なんでしょう? まだ結婚する気はないんじゃない? それに、もし結婚となっても、男側の親が反対するわよ。義之(弟、仮名)が8つ上の女性を連れてきたら、お母さん、いい顔できないもの」
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