福岡「ガンプラキープ」ができるバーの正体 オーナーは根っからのジオン党

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「600体は超えてるでしょうか。お客さんのものが9割以上ですよ」とオーナーの松本伸雄さん(49)。お気に入りのガンプラを持ち込んで飾り、友達連れで来た際に見せて楽しめる、ボトルキープならぬ「ガンプラキープ」というサービスが好評らしい。

「私が作ったガンプラを『見て下さい』というのはあまりやりたくなかったんです。家でゲームしたり、ガンプラ作ったりという生活をしているガンダム好きに出てきてほしかった」

「仲間をつくり、ガンダム話をする場所をという思いだったので、皆さんから持ってきてもらうことを心掛けました。ただ、かっこいいガンプラを持ってこられて、それを見たら、作りたくてしょうがなくて、結局私もちょこちょこっと飾ってはいます」

「大佐」と呼ばれる松本さん。ソロモンの主であれば、ドズル・ザビと同じ「中将」では?

「最初は中将が恐れ多くて大佐からスタートしてたら、途中で『中将になりました』というのも恥ずかしくて、大佐止まりです。えへへ」

昼間は自営で内装関係の設計などを手掛ける大佐。初代ガンダムをリアルタイムで見ていた世代で、ガンプラは並んでもなかなか買えなかった。「なぜか買いたくもない戦車とか飛行機のプラモを一緒に買わされるという。『うわ、こんな商売あるんだ』。大人の商売を勉強できた時代でした」

「Z」、「ZZ」を見た後、一時期ガンダムから離れた。「当時はデザインがかっこいいな、という見方をしていて、ストーリーはあまり見てなかったんですよ。大人になってもう一度見直して、深い内容だなあと。正義の味方と悪が戦うんじゃない、人と人との戦いなんだと感じました」。20歳ごろから再びガンプラにはまるなど、ガンダム愛がよみがえった。

「宇宙世紀」だけじゃなく、「00」なども見るが、やっぱり初代が好き。店の中もファースト寄りだ。元々は客としてガンダムバーを楽しむ側で、福岡でのオープンを待つ側だった。だが「待てど暮らせど福岡にはできないので、自分の願望をやっちゃえ」とばかりに、2009年の6月に開店した。

「坊やだからさ」「ズゴックの唐揚げ」

ソロモンの看板メニューは、シャアのコスプレをして、グラスを片手に「坊やだからさ」とつぶやける「シャアのバーボン」。そしてダイニングバーだから当然、フードにもこだわりがある。ズゴックのフィギュアと唐揚げが一緒に盛られた、その名も「ズゴックの唐揚げ」だ。自家製のガーリックパウダーを衣に混ぜて手作りしており、意外と言っては失礼だが、人気というのもうなずける味だった。

ソロモンの人気メニュー「ズゴックの唐揚げ」(左)と「ゴッグの爪」(写真:qBiz 西日本新聞経済電子版)

「『生きの良いズゴックがベルファストで取れて、博多港に送られた分を料理しています』みたいな、そういう変なことばっかり考えています。ついこんなのが面白いだろうなと思うと、やっちゃうんですよね」

メニューは自身の願望の塊だが、プラモなどにあふれた店内は客と作り上げた。オープン当時はスカスカだったが、今は置き場所が無くなりつつあるほど。

「そろそろやばいですね。カウンターもどんどん狭くなって、無理してますもんね。どうしましょうかね。お客さんのものは処分できないですからね」

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