金正恩は錯綜する米国の動きに戸惑っている 1カ月に2度の中国訪問が意味すること

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2つ目が、4月27日に行われた南北首脳会談である。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換する目標で南北が一致したこと、そして朝鮮半島の非核化目標が共同声明に盛り込まれた点が特に重要だ。

いずれも、少なくとも一時的には北朝鮮をめぐる緊張緩和に寄与する動きであり、中国政府からも前向きに受けとめられている。

さらに、王毅外相による訪朝をはじめ、中国から複数の外交関係者が平壌入りしている。米国のマイク・ポンペオ国務長官が先日、再び平壌に飛んだことも目を引く。このように外交環境が活発化する中で行われたのが、2度目の中朝会談だった。

北朝鮮メディアでは報じられなかったこと

中国と北朝鮮のメディアでは、今回の中朝会談の扱いは大きく違っていた。報道における相違点は3月に行われた前回の首脳会談のときと同じようなものであり、双方の立場の違いが今も消えずに残っていることを示している。

両国メディアはともに2カ国の協力関係や相互信頼に言及し、今後も対話を続けるとした金委員長と習主席の発言を紹介した。また、核と経済の並進路線から経済一本へと舵を切った北朝鮮の戦略転換について、習主席が賛意を示したことも双方のメディアが報じている。

だが、重要なのは、「関係国が敵対的な政策を放棄し、北朝鮮の安全を脅かさないのであれば、朝鮮半島の非核化は実現可能だ」という金委員長の発言が、中国メディアでしか報じられなかったことだ。

北朝鮮の国営メディア、朝鮮中央通信(KCNA)は、この点についてまったく触れていない。北朝鮮メディアは、北朝鮮が行った最近の非核化宣言についても、これまでほとんど言及しておらず、中朝会談でもこうした方針が貫かれている。

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