こだまする「ロスジェネが怖い」という悲鳴 20代にとっては、おそらく恐怖でしかない

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氷河期・ロスジェネ世代は、会社側が採用を手控えていたために慢性的に人手が足りず、人の2倍、3倍働くのが普通でした。女性の方はワンオペで子育てしながら働いてきた方だっているはずです。

それがゆえに、

ちょっと感覚がマヒしてしまっているんですね……。

私も後輩の話し方に問題があると思ったので「君の話し方は損をするよ」と指導したところ、その後輩がショックで翌日休み、その結果私は上司に呼び出され、

「そんなことをいうとは何事だ!」

と怒られたことがあります。そのとき、私は、

自分がやられても、自分は後輩にやっちゃいけないんだね……(涙)

と心で涙したことがありました。

氷河期・ロスジェネ世代は人員が足りなかったからたくさん働かなければいけなかっただけです。人員が増えてきた今、自分たちと同じように人の2倍、3倍働けと思っても、下の世代は当然、理解できません。

知り合いの氷河期おじさんは、「最近の若手は深夜に電話をかけても出やしない。本気で仕事をする気があるのか」と嘆いていました。

それは、私も嫌かな……。

伊藤さんは無意識の期待を捨てた

さてはて、伊藤さんは、内心歯ぎしりしながら、田中さんになるべく柔和に接するようにし始めました。そして、部署になんと今度はもっと若い新卒が入ってきて、その教育担当にもなりました。

伊藤さんは、「自分が同じ年ならできたこと」を後輩が当然できるという無意識の期待があったことに気づきました。

伊藤さんは、この期待を捨てました。個々の特性をみて、相手のできることできないことを見抜いて、仕事を教え、振るようにしました。

氷河期・ロスジェネ世代は一人ひとりが優れたプレーヤーでありましたが、彼らももうアラフォーです。これからはマネジャーとしてシフトしていくタイミングなのかもしれません。

伊藤さんは、自分たちがした苦労を下の人間に再生産しなくてもいいのかもしれないなぁと最近、思っているとのことです。

といったところで今日は失礼します☆

ずんずん キャリア・人間関係コーチ、コラムニスト

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ずんずん / zunzun

元外資系OL。大学卒業後、埼玉県にある日系事業会社に就職。激務の果てに「死ぬ前に丸の内OLになりたい」と転職活動を開始し、外資系投資銀行に採用される。さらにシンガポールの世界的IT系企業で働いたのち、帰国。著書にコミックエッセイ『外資系はつらいよ OLずんずんが見た資本主義帝国♪の全貌』『外資系OLは見た!世界一タフな職場を生き抜く人たちの仕事の習慣』(ともにKADOKAWA)『エリートに負けない仕事術』(大和書房)がある。

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