現在、世界各地の都市で起業支援の活動が活発化しています。
ニューヨークでは、2008年の金融危機を契機に、経済の多様化を目指す市長のイニシアチブで経済開発公社や民間団体が、投資家とのミートアップやセクター間の交流促進などスタートアップ支援を戦略的に展開。技術人材の不足を打開するべくコーネル大学とイスラエル工科大学のパートナーシップであるコーネルテックを誘致するなど大胆な策も講じ、今やシリコンバレーに次ぐスタートアップ都市になっています。
ボストンでもマサチューセッツ工科大学に隣接するケンドールスクエアにケンブリッジ・イノベーション・センターがスタートアップの支援拠点を形成。1200社を超えるスタートアップが集まり、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどもオフィスを構えます。徒歩圏内に大規模な起業家コミュニティが形成され、成長企業も多数誕生しています。
世界の主要都市が取り組んでいる
フランスでは、政府のフレンチテックによるスタートアップ支援が加速する中、巨大なインキュベーション施設「Station F」がオープン。成功した起業家の資金で駅の建物をリノベーションした施設には3000社の企業が入居可能で、すでに1000社を超えるスタートアップやVCが入居しているとのこと。このほかにも、ベルリン、ロンドン、シンガポール、深圳はじめ各都市でスタートアップを軸とした街づくりが進んでいます。支援拠点が整備され、官民のさまざまな団体が活動を加速しています。
都市におけるスタートアップの活況の中心には、コミュニティづくりがあります。「自由にチャレンジする雰囲気をつくること」「多様な人が混ざり合うこと」を意識して行動する人たちがいます。ハコモノを整備するだけでなく、人の集まりやすさ、人のつながりを重視する行政の取り組みもポイント。経済活力の源泉であるスタートアップを応援する公的なミッションで、あえて民間プレーヤーが自由に動ける環境をつくり続ける行政の力量も問われています。
本稿で紹介した東京、福岡で加速する起業家コミュニティ形成の動きが、世界各都市のイノベーション拠点の動きに勝る勢いで発展することを期待しています。また、国内のほかの都市における起業家コミュニティの形成の進展も期待しています。
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