難民申請が通らなかったら…その過酷な末路 退去強制の対象となって収容施設行きに

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日本において、2017年の難民認定申請数は1万9629人。難民認定されたのはわずか19人で、難民認定率は0.2%です。

そうした極めて厳しい認定率であるにもかかわらず、そもそも、なぜ難民たちは難民申請先として日本を選ぶのでしょうか。

認定NPO法人難民支援協会(東京新宿区)の野津美由紀さん(写真:「リディラバジャーナル」編集部)

日本に来た難民を支援している認定NPO法人難民支援協会(東京新宿区)の野津美由紀さんは「主体的に日本を選んで来るわけではない人たちがほとんどです」と話します。

来日した難民が直面する現実

「典型的なケースとしてあるのは、日本行きのビザが取得できたからというものです。自国の政府当局から迫害されるおそれのある難民にとって、出国しようとすることを知られるのは大きな危険を伴います。そのため、自らパスポートやビザを手配できず、ブローカーにお金を払って偽造パスポートをつくり、ビザの取得を代行してもらうことがあります。ブローカーにとっては日本のビザは取りやすく、またいくつかの国にビザを申請していたところ、たまたま日本のビザが最も早く手配できたからという理由で来日することもあります」

そうして来日する人たちの多くは、日本では難民認定が厳しいという現実を認識していません。

また来日した難民が直面する現実について、野津さんは次のように語ります。

「日本に来るほとんどの難民には、拠り所がありません。親族や知人がいるなどという理由で日本を選んでいるわけではないので、日本に降り立った瞬間から、知り合いもおらず、言葉もわからずに天涯孤独に陥ってしまう。数週間で所持金が尽きた結果、ホームレスになってしまう人もいます」

このような現実を踏まえれば、ジュディさんのように難民不認定となりながらも、何とか家族とともに日本で生活をしているケースは稀であることがわかります。

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