現在、トヨタのモータースポーツの3本柱はWRC(世界ラリー選手権)、WEC(世界耐久選手権)、ニュルブルクリンク24時間耐久レースだが、その中でWECは「ハイブリッド技術を鍛える場」として活用されており、ポルシェが撤退した今年も継続して参戦している。
自動車業界は転換期が訪れている
自動車業界は100年に1度と言われる転換期が訪れており、どのメーカーも電動化に向けて舵を切り始めている状況。ハイブリッドのパイオニアであるトヨタは、環境対応や省エネのイメージが強いハイブリッドをドライビングファンのために用いることを次の一手にした。
ちなみにWECで培った技術やノウハウはすでに量産のハイブリッドシステム/エンジンに間接的なフィードバックはされているのだが、TOYOTA GAZOO Racingを率いるGRカンパニーとしては何も形になっていないのも事実だ。さらに言うと、量産モデルのハイブリッドとWECのハイブリッドには関連性がない……と思っている人も多い。
その誤解を解くためにも、WECで培った技術を“直接”フィードバックするような“象徴”が必要だった。それがGRスーパースポーツコンセプトに与えられた役割だったのである。
ただし、友山氏はGRスーパースポーツコンセプトについて、「パワートレーンや見た目はWECが色濃く出ていますが、『誰でも安心してどんな道でも走れる』という部分はWRCやニュル24時間、そして事故を起こさないように相手も自分も守る制御技術、ルーフアンテナのTコネクトからわかるように最新のコネクテッドカーでもあります。つまり、トヨタのすべての活動が表れている1台です」と語っている。つまり、位置づけとしてはトヨタのフラッグシップカーと言ってもいいだろう。
トヨタのフラッグシップスポーツを振り返ると、1967年に2000GT、1986年にスープラ(A70系)、そして2010年にレクサスLFAと20~25年周期で技術伝承が行われてきた。GRスーパースポーツコンセプトもそれに繋がるが、そもそもの生い立ちが異なる。お手本となるのはWECを戦うトヨタTS050、つまりレーシングカーがベースなのだ。
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