拉麺選手権で解説「ブロックチェーン」の基礎 応用できる範囲が「驚異的に広い」理由

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このように、データが改ざんされることなく、ネットワーク上の全員でデータを管理できることに、ブロックチェーンの強みがあるわけです。

ラーメン選手権で投票が改ざんされることはないでしょうが、データ管理の信頼性、効率性が求められる仕組みなら、既存のものであろうと、新しいものであろうと、ブロックチェーンのこの強みを活かせます。

ビットコインの「2階建て」という性質を利用

ラーメン選手権の投票システムには、もう1つ特徴があります。それは、ビットコインを使っていることです。なぜ、ビットコインが必要なのでしょうか?

投票券をビットコインで買うわけではありません。逆に、ビットコインを投票券の運搬役に使っているのです。

少し専門的な話になりますが……。ビットコインのシステムは、2階建てになっていることに特徴があります。1階部分が「通貨」としてのビットコイン、2階部分が「価値」を流通させるブロックチェーンです。2階のブロックチェーンには、地域通貨のような自家発行のおカネを載せることもできるし、食べ歩きイベントのチケットを載せることもできるし、グルメ選手権で一番を決めるための投票券を載せることもできます。

ここがビットコインの面白い点ですが、ビットコインの1階部分はプログラムが決まっていて手を出せないのですが、2階部分の作り方はけっこう自由で、開発のためのプログラム言語も自由に選ぶことができます。

2階部分を作るための道具として、オープン・アセット・プロトコルといって、すでにアメリカで公開されているものがありますが、他の言語に置き換えて開発することもできます。実際、このラーメン選手権の投票システムは、国産のプログラミング言語であるRuby言語で開発されています。

現在のビットコインは、投機的な側面が強く、価格が乱高下していることが問題ですが、2階部分を自由に作れる仕組みは画期的なものです。ラーメン選手権では、たくさんの投票券を素早く配布するために、運搬役のビットコインをたくさんの数に分割するツールを作っています。

ビットコインの送金には平均10分ほどの時間がかかります。投票券の運搬役としてビットコインを使う場合には、事務局から投票券を1枚送るごとに10分ほど待たなくてはいけません。この作業を投票の現場で行っていたのでは、効率的とはいえません。

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