5月の日本株は夏の上昇に備え「買い増し」も GWを無事通過、「セルインメイ」にはならず?
米国経済は、2008年のリーマンショック以来の長期間に渡る金融緩和が功を奏し、金利上昇を伴った健全な景気回復がはっきりしてきた。しかしFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレリスクを押さえながら、極めて慎重に政策を実行している。
FOMC(米公開市場委員会)での今年の残された期間の利上げも、6月、9月、12月の3回に分けて最大75ベーシス(0.75%)に押さえ、景気の上昇スピードをコントロールして行くと思われる。また、企業収益も法人税減税で金利高を吸収できる体制ができている。常に人をハラハラさせるドナルト・トランプ大統領の過激な発言も、実際は11月の中間選挙を意識したもので、落としどころは心得ていると思う。株価の暴落があっては元も子もないからだ。
5月は「セルインメイ」ではなく「買い乗せ」か
日経平均株価は1月の高値2万4124円から3月の安値2万0617円まで14.5%も下げたが、5月2日の引け2万2472円は、下げの半値もどし2万2370円をすでに抜いている。「半値戻しは全値戻し」と言われるが、日経平均は下回っていた25日、75日、200日移動平均線を突破、近くて遠かった2万2500円をもいったん確保している。チャートを見ると、次は2月5日の「マド」2万2659円、2017年の大納会の安値2万2753円、2018年2月下落直前の安値2万3092円などがひとまずの通過点になりそうだ。
2018年の価格帯別売買高を見ると、高値から急落したこともあり、2万3000円までは大きな抵抗がない「真空地帯」だ。日経平均のEPS(1株利益)も史上最高の1700円台になっている。しかし、その割には上値が重い。理由はいくつかあるが、高値から3カ月が経過して信用の期日売りに押されていることや、2018年度の最終利益の伸びが不透明なことも、その1つだ。
特に企業業績に対する投資家の目は厳しく、1-3月期の決算数字がどれほど良くても、4-6月期以降が不透明な企業は厳しく売られている。それでも各社のドル円の想定レートは100円から105円が多く、110円台の展開が見えて来た現在、4-6月期決算の数字が出る7月下旬から8月半ばに、上方修正ラッシュもありそうだ。つまり今年は「サマーラリー」が期待できる年になるということだ。そうなると売り場の5月(セルインメイ)ではなく、サマーラリーへの仕込み場となる。
前回の記事「5月の日本株が上昇すると読む『6つの理由』」では、5月相場を、「彼岸底から見て、売れる(利確ができる)程度の株価上昇の姿は見えてきた」としたが、サマーラリーへの通過点だとしたら、5月相場は売り場ではなく「買い乗せ場」になる。
もちろん、これからの世界経済は金利高、原油高(原油と米10年債利回りは連動)、資材高が明白なので、この流れに対してメリット・デメリットを考えることが重要だ。金利高、原油高、資材高では、少なくとも自動車株は買いにくい。これらを踏まえ、今週の日経平均予想レンジは2万2250円―2万2800円とする。
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